| [2026_01_31_03]社説 2026衆院選・原発回帰の是非 与野党の論戦物足りない(共同通信2026年1月31日) |
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04:00 あの東京電力福島第1原発事故から15年の節目が近づく。高市政権は原発を最大限活用する方針だが、何より肝心な安全性への懸念は拭えないままだ。この点、衆院選の論戦は低調で物足りない。 未曽有の災害を経て「脱原発社会」を掲げた政治判断を過去の遺物にしていいのか。国民的な議論がないまま進む「原発回帰」には、強い危機感を抱かざるを得ない。わが国のエネルギー政策が岐路に立つ今こそ考えたい。 昨年10月に高市早苗首相が就任して以降、原発回帰への流れは加速している。今月には福島事故の当事者である東電が、柏崎刈羽原発6号機の再稼働に踏み切った。 さらに高市政権は大規模太陽光発電所(メガソーラー)の規制を強めるなど、再生可能エネルギーのやみくもな拡大にブレーキをかけつつある。高市氏はかねて太陽光パネルの多くが中国などの外国製だと批判してきた。根強い反対もあるメガソーラーを口実に、原発依存を高めようとする狙いも見え隠れする。 一方、原発の安全性と信頼を揺るがしかねない事態が相次ぐ。象徴が柏崎刈羽6号機だ。燃料の核分裂を抑える制御棒の警報が作動せずに再稼働が遅れた上に、稼働からわずか29時間後には制御棒自体のトラブルで停止した。今も原因調査が続いている。 悪質なのは中部電力の浜岡原発3、4号機だ。耐震設計の目安となる震動データを、意図的に過小評価した疑いがある。南海トラフ巨大地震の想定震源域にあるだけに、言語道断の不正である。原発政策全体への不信を高めたことも深刻に受け止めるべきだ。 両原発のトラブルの背景には、再稼働を急ぐ政権の姿勢も影響しているのではないか。福島の事故で失ったものを思えば、石橋を何度もたたきながら渡るほどの慎重さと緊張感が求められるはずだ。 こんな状況でも衆院選の論戦が盛り上がらないのは、野党の責任も大きい。党の綱領に「原発ゼロ」を掲げてきた立憲民主党は、公明党と新党「中道改革連合」を結成するのに際して方針を転換。条件付きで再稼働を認める「現実路線」にかじを切った。 ただ、原発に付きまとう使用済み核燃料の問題に明確な解決策を打ち出している政党はない。福島第1のデブリの取り出しや除染土の処分などの課題も山積する。原発を推進、容認する以上、これらに正面から向き合い、国民に説明を尽くす責任があろう。 むろん国際課題である脱炭素の取り組みも重要だ。各党とも再エネ拡大の方向性ではおおむね一致するが、具体策や財源の裏付けは乏しい。 気がかりは再エネを重視する姿勢に疑問を呈し、化石燃料への回帰を示唆する政党が出てきたことだ。「地球温暖化はフェイク」と言い張るトランプ米大統領に同調するような風潮が、国内でも広がっているのなら憂慮すべきだ。 脱炭素の旗印を下ろしてはならない。地震大国に根付く政党は原発よりも、再エネへの依存度を高めるビジョンや政策を競ってもらいたい。 |
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