[2026_01_23_14]〈社説〉柏崎刈羽原発 やはり再稼働の資格ない(信濃毎日新聞2026年1月23日)
 
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〈社説〉柏崎刈羽原発 やはり再稼働の資格ない

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 東京電力が、新潟県の柏崎刈羽原発を再稼働させた直後に、トラブルで原子炉を停止すると発表した。

 原子炉から制御棒を引き抜く作業中に、異常を知らせる警報が鳴ったためという。東電は22日夜の会見で、まずは原因の究明を徹底するとし、今後の見通しは未定とした。

 東電は福島事故後も、テロ対策の不備など数々の不祥事を重ね、原発を運転する資格があるのかが問われ続けてきた。このまま運転を認めるわけにはいかない。過酷事故の反省や教訓が生かされているとは思えない。

 世界最悪レベルの福島第1原発事故から15年近く。東電の原発再稼働は事故後、初だった。

 制御棒をめぐっては再稼働の直前にも、原子炉停止中に不適切な手順で引き抜こうとした際に鳴るはずの警報が正常に作動しない不具合が発生している。原因となる設定ミスは、営業運転の開始時から約30年も続いていた。

 制御棒には、燃料の核分裂を抑える重要な役割がある。だが、再稼働した6号機では昨年も、制御棒の作動で2件の不具合が起きていた。

 警報が鳴らない不具合が判明した際には、担当者が会見で「運転員の手順に間違いはなく、たまたまエラーを見つけてくれた」と述べた。警報の試験は任意の制御棒で行ってきたため、誤った設定には当たらなかったという。安全性を偶然に頼っていたと言わざるを得ない。東電の言う安全とは、この程度のものだった。

 しかも東電は警報の動作確認のために予定を1日延期しただけで再稼働に踏み切った。承認した原子力規制委員会の責任も重大だ。

 6号機は新規制基準で設置が義務付けられたテロ対策施設も完成していない。未完成でも原発を動かせる「猶予期間」を活用する「抜け道」を使った。

 再稼働を白紙に戻して審査をやり直すべきだ。

 福島第1原発は、いまだ廃炉の道筋さえ見えない。東電は、廃炉や賠償などの費用として16兆円超の負担を抱える。年間約1千億円の収支改善効果を見込む再稼働を前のめりで進めるあまり、安全性の確保をおろそかにしていると思わざるを得ない。

 原発の最大限活用を掲げ、再稼働を後押ししてきた政府の姿勢も問われる。

 東電は福島の事故後、「経済性より安全性を優先させる」と決意を示してきた。言葉だけの「安全」に憤る。

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