[2026_01_21_20]〈社説〉柏崎刈羽原発の不具合 再稼働どころではない(東京新聞2026年1月21日)
 
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〈社説〉柏崎刈羽原発の不具合 再稼働どころではない

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 そもそも原発を安全に動かす能力があるのだろうか。東京電力柏崎刈羽原発(新潟県、全7基)6号機で、燃料の核分裂を抑える制御棒に関する不具合が発生し、当初20日に予定していた再稼働が延期となった。柏崎刈羽では今回に限らず、設備のトラブルやテロ対策の不備など安全性に関わる不祥事が相次ぐ。東電は早期に再稼働する方針だが、とてもそんな状況ではないだろう。

 柏崎刈羽は6、7号機が原子力規制委員会の審査に合格し、東電は優先する6号機の再稼働を目指している。再稼働への理解を求める政府の要請を受け、花角英世知事は昨年11月に容認の意向を表明し、県議会の追認を経て「地元同意」の手続きを終えた。東電の当初の計画では、今月20日に制御棒を引き抜いて再稼働し、安全確認などを経て2月26日に営業運転を始めるとしていた。

 だが今月17日、核燃料から制御棒を引き抜く試験中、本来なら鳴るはずの警報が作動しないトラブルが起き、東電は保安規定に定める「運転上の制限」から逸脱したとして規制委へ報告した。制御棒は205本あり、引き抜く棒の組み合わせを誤ると核分裂が予期せず進む恐れがある。警報はこれを防ぐためのものだが、設定ミスで正常に動かなかった。ミスは88件に上り、6号機の1996年の運転開始時から続いていたという。

 柏崎刈羽では、6号機の制御棒に関する不具合が昨年6月と8月にも相次いで発生した。さらに、事故時の緊急連絡に使う衛星電話の故障が2024年11月〜昨年1月に4件続いたほか、昨年9月には非常用電源のガスタービン発電機が試運転中に動かなくなるトラブルも起きた。

 福島第1原発事故を受けて東電の原発は長期にわたって停止しており、運転経験の不足の問題も指摘されている。柏崎刈羽では、運転員の約4割が稼働中の原発を動かした経験がないという。

 東電は、今回の制御棒の不具合について安全上、重大なトラブルではないと説明しているが、一つ一つのほころびの積み重ねが大きな事故につながる。技術的な問題だけでなく、IDカードの不正利用など、安全意識の希薄さをうかがわせる深刻なテロ対策不備も起きている。慢心が取り返しの付かない惨事を招くことは福島の教訓が示す通りだ。
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