| [2026_01_11_01]原発のデータ不正 運転の適格性 疑問拭えぬ(山陽新聞2026年1月11日) |
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08:00 原発の安全の根幹を揺るがし、原子力事業への信用を失墜させる不正行為である。 中部電力浜岡原発3、4号機(静岡県御前崎市)の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査で、中部電が耐震設計の目安として想定する揺れである「基準地震動」を意図的に過小評価していた疑いがあることが明らかになった。 浜岡原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域直上にあり、その発生や被害が危ぶまれている。安全対策工事のベースとなる基準地震動は、自然災害分野の審査で極めて重要な項目であり、データを不正に操作するとは言語道断だ。原発を運転する電力会社としての適格性を強く疑わざるを得ない。 これまで中部電は基準地震動を策定する際、計算条件が異なる20の地震波から最も平均に近い1波を「代表波」として選定したと説明していた。ところが実際は、意図的に小さくなるよう1波を選び、それが平均に見えるよう残り19波のデータを操作し、つじつま合わせをしていた。 基準地震動の値が大きくなると、耐震性能をより強化する必要が生じる可能性がある。「出費を小さくしたいバイアスがかかるのではないか」との指摘もある。原子力規制委が基準地震動をおおむね了承したのは2023年だが、不正行為は18年以前から行われていたとみられる。 原子力規制委は審査を白紙にし、中部電本店や浜岡原発への強制力ある立ち入り検査を実施する。山中伸介委員長が「安全に直接関わる審査データの捏造(ねつぞう)案件であって、明らかに不正行為。安全規制に対する暴挙だ」と批判したのは当然である。コンプライアンス(法令順守)意識の希薄さにあぜんとする。 中部電は事実関係や原因を調べるため、外部の弁護士からなる第三者委員会を設置した。原因の徹底究明だけでなく、組織文化にまで踏み込んで厳密に調査を尽くしてもらいたい。 浜岡原発を巡っては中部電が昨年11月、安全対策工事で正式な契約変更や精算手続きをしなかった不祥事が計20件判明したと発表。取引先への未精算額が数十億円に上り、副社長ら幹部2人が引責辞任したばかりである。今回の不正発覚で、ガバナンス(企業統治)の機能不全が再び浮き彫りになったと言えよう。 原子力規制委の山中委員長は他の電力会社が同様の不正行為をしていないかどうかについては「審査、検査の中で類似不正の兆候がない」として調査しない方針を示した。とはいえ今後、より厳密にチェックする必要がある。 政府はエネルギー基本計画で「原発の最大限活用」を掲げ、東京電力福島第1原発事故後の依存度低減からかじを切った。だが、原発はいったん深刻な事故が起きれば、被害の甚大さは計り知れない。原発活用のリスクが改めて問われている。 |
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