[2026_01_08_09]社説:浜岡原発の不正 安全を脅かす「ねつ造」(京都新聞2026年1月8日)
 
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社説:浜岡原発の不正 安全を脅かす「ねつ造」

 16:00
 原発の安全と、その審査の信頼を大きく揺るがす重要データのねつ造だ。原子力事業者としての適格性を疑う。

 中部電力が、浜岡原発3、4号機(静岡県)の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査で、社内に評価方法の不正行為があったと公表した。耐震設計の目安として想定する「基準地震動」で、意図的に過小評価した疑いがあるという。

 原子力施設の敷地で想定される最も大きい地震の揺れで、耐震設計の妥当性を判断するべースとなる項目である。耐震性の乏しい施設の過酷事故につながりかねず、地域の安全性を脅かすものだ。断じて許されない。

 浜岡原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域直上に立地し、2011年の東日本大震災後、全面停止した。中部電は3、4号機の再稼働を目指して14〜15年に規制委に安全審査を申請。規制委は23年、基準地震動について「おおむね了承」とし、施設の設計審査を進めていた。

 事態の発覚は昨年2月、規制委に寄せられた外部通報がきっかけだった。情報提供がなければ、見逃されていたのではないか。

 規制委は不正行為を問題視して昨年末に審査を停止。山中伸介委員長はきのう、審査を白紙とした。当然である。

 20年には福井県の敦賀原発2号機で、日本原子力発電による審査資料の無断書き換えが発覚している。同様の事例がほかにもないのか。事業者の示したデータが正しいとの「性善説」に立つ規制委の審査体制そのものが問われよう。チェックの強化が欠かせない。

 中部電では昨年11月、契約変更や精算手続きで不祥事が明らかになったばかりだ。

 今回は原子力土建部の社員数人が関与したとみられる。

 中部電は外部の第三者委員会を設置した。早期の再稼働や対策コストを減らす狙いのほか、組織的関与がなかったのか原因究明を徹底せねばならない。

 通報から1年近く経過しての不正公表が解せない。北海道電力・泊原発や東京電力・柏崎刈羽原発で再稼働に向けた地元同意の後というタイミングは、世論の反発を避ける狙いにも映る。規制委は早期に公表し、他の原発を含めて検証すべきでなかったか。

 政府は、原発再稼働は安全性が最優先と繰り返す。その前提が揺らぐ事態が続いていることに目をつむり、前のめりに進めることは無理がある。

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