[2026_01_09_13]社説:浜岡原発データ不正 安全性への信頼崩れた(秋田魁新報2026年1月9日)
 
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社説:浜岡原発データ不正 安全性への信頼崩れた

 09:39
 中部電力が浜岡原発3、4号機(静岡県)の耐震設計に関わるデータを不正に操作していたことが明らかになった。原子力規制委員会は2014、15年に同社から申請を受けて進めてきた再稼働の審査を白紙にする考えを示した。

 浜岡原発の安全性への信頼は根本から崩れたと言っていい。規制委の山中伸介委員長が「明らかに捏造(ねつぞう)。安全規制に対する暴挙だ」と厳しく批判したのは当然だ。関与したのは社員数人とみられるというが、組織ぐるみの疑いはないのか。徹底的な調査によって、経緯や背景を含めて問題の全容を明らかにしなければならない。

 浜岡原発は警戒が強まっている南海トラフ巨大地震の想定震源域に立地している。不正に操作されたのは、原発施設の敷地で想定される最も大きい地震の揺れである「基準地震動」のデータだ。審査で耐震設計が妥当かを判断する重要項目の一つに位置付けられている。

 中部電力は基準地震動を算出するに当たり、想定される20の地震波から最も平均に近い波を代表として選び、策定に使うと説明していた。だが実際は意図的に一つの波を選び、他の波のデータを操作していた。基準地震動を小さく見せかける目的だったとみられる。

 規制委はこのデータに基づき中部電力が示した基準地震動を、23年に「おおむね了承」と判断していた。原発の安全性を判断する専門家の目が欺かれたことになる。審査は事業者側が示すデータに虚偽はないとの性善説に立って行われているが、その大前提が崩れた。事態は極めて深刻だ。

 問題が明らかになったきっかけは、規制委への外部からの通報だ。規制委はこれを受け、中部電力に資料の提出や社内調査を要求。その結果、疑義が生じたとして昨年12月から審査を停止していた。14日の会合で、今後の審査や検査の方針を決定するとしている。

 こうしたデータ不正が中部電力だけのことなのかどうかも気がかりだ。山中委員長は「類似不正の兆候がない」として他の電力会社への調査は行わない方針を示している。ただ、今回の不正は通報がなかったら気付かなかった可能性がある。安全確保のため、より幅広く詳細な調査が必要なのではないか。

 政府は昨年2月にエネルギー基本計画を改定。11年の東京電力福島第1原発事故後の可能な限り原発依存度を低減するとの方向から最大限活用へと転換した。その後、泊原発(北海道)や柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けた地元同意手続きが完了するなど原発活用が進められていたが、不正発覚でブレーキがかかるのは必至だ。

 今回のような安全軽視は大事故につながりかねない。審査に二度と不正が行われないよう、政府は原因究明と対策に力を尽くすべきだ。
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