[2025_11_21_05]【解説】県議会に諮る手法に疑問、花角英世知事は県民に直接説明を【柏崎刈羽原発の再稼働容認表明】(新潟日報2025年11月21日)
 
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【解説】県議会に諮る手法に疑問、花角英世知事は県民に直接説明を【柏崎刈羽原発の再稼働容認表明】

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 花角英世知事が東京電力柏崎刈羽原発の再稼働について自らの考えを初めて明らかにした。再稼働に対して県民の賛否は二分し、福島第1原発事故を起こした東電への不信感はいまだ根強い。それを認めながら再稼働を容認した理由について、より丁寧な説明が求められる。
 県が行った県民意識調査によると「再稼働の条件は現状で整っていない」と考えている県民が約6割に上る。東電が原発を運転することを心配だと考えている人は約7割に上った。
 それでも再稼働を認めた理由の一つとして、知事は記者会見で「国や東京電力の安全対策などを理解してもらう作業が進めば、この状況は変わる」と述べた。だが、原子力規制委員会による新規制基準の審査に合格してから8年近くたちながら、この状況である。理解が進む保証はない。
 再稼働容認という判断の是非を県議会に諮るとした手法にも疑問が残る。
 知事は再稼働にかかる自身の判断について常々「県民に信を問う」と発言してきた。会見では、県議会が今回の知事判断を誤りだとするなら不信任決議が可決されるとの見方を示した。
 ただ、県議会は、知事を初当選時から一貫して支持してきた自民党県議団が半数以上を占める。不信任とされないことを見越しているようにも映る。
 知事判断の是非は本来、県民全体で議論されるべき重大な問題だ。
 県民も県議会も知事判断を聞いたばかりで、これからその考えを吟味しなければならない。県議会12月定例会で結論を出すとすれば拙速と言わざるを得ない。
 知事は今後、自らの判断理由を県民に直接、丁寧に説明すべきだろう。県議会も県民の代表として県民の声にじっくりと耳を傾け、多くの県民が納得のいく結果を導き出す責任がある。
(報道部長・前田有樹)
知事発表文書全文(+をタップ・クリックすると開きます)

 ◆2026年1月にも原子炉起動が可能に

 新潟県の花角英世知事は21日、臨時の記者会見を開き、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を容認すると表明した。県民の意思を確認する方法として、県議会12月定例会で、県議会に信任か不信任の判断を仰ぐ。信任を得れば年内にも国に地元同意を伝える意向だ。2011年の東日本大震災で福島第1原発事故を起こした東電が、事故後初めて原発を再稼働させる公算が大きくなった。準備が順調に進めば26年1月にも原子炉起動が可能となりそうだ。(後略)
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