| [2025_11_13_04]原子力潜水艦の導入急ぐ韓国 軍拡競争に不安も「日本国民は快く思わないかもしれない。ただ…」_韓国政府系シンクタンク・趙漢凡氏に聞く(西日本新聞2025年11月13日) |
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06:00 韓国の李在明(イジェミョン)大統領が求めた原子力潜水艦(原潜)の建造を、トランプ米大統領が10月末に承認した。韓国が原潜の導入を急ぐ理由について、軍事や北朝鮮問題に詳しい韓国政府系シンクタンク、統一研究院の趙漢凡(チョハンボム)氏は、周辺諸国の脅威の高まりや現状の不備を挙げた。 (聞き手はソウル竹次稔) ■ロシアの原子力潜水艦「ハバロフスク」【写真】 −なぜ原潜が必要なのか。 写真:インタビューに応じる韓国政府系・統一研究院の趙漢凡氏=10日、韓国ソウル 「韓日が保有する最新の潜水艦は、潜航期間が約3週間とされ、最高速度で運航すると短時間でバッテリーを放電する。一方で原潜は長く走り続けられる。つまり韓日の潜水艦は中国とロシアの原潜を追跡できない」 −原潜の用途は。 「韓国が確保を目指す原潜はおそらく6千トン級。搭載した弾道ミサイルを陸地に向け垂直発射でき、1、2カ月間、東海(日本海)に潜むことが可能だ。東海は寒流と暖流が交差して水塊が形成されやすく、潜水艦探知が難しいエリアとされる。そこに原潜が長く潜んでいれば、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記には深刻な脅威となるだろう。中国、ロシアをけん制しつつ、北朝鮮の動きを抑止するのに、韓国の原潜は唯一とも言える選択肢となる」 −トランプ氏が承認した背景は。 「米国の軍事負担を減らせるからだ。日本も望めば、米国が承認する可能性は高いだろう」 −軍拡競争について日韓の国民には不安がある。 「韓国の原潜建造に対し、日本国民は快く思わないかもしれない。ただ、既に避けがたいグローバルな軍備競争の時代に突入してしまった。韓国が原潜を保有すれば、戦略的なバランスを考えて日本政府も導入に動くだろうが、日本国内でも国民的議論、葛藤が生じると予想する」 −北朝鮮でも原潜を建造している、とされるが。 「そのように報道されているが、北朝鮮に原潜を建造する能力はない。原潜は世界で最も高度な技術が必要とされる。ロシアから原子炉を提供されたとしても、まだ造船技術が不足している。米英豪の安全保障枠組みAUKUS(オーカス)により、オーストラリアが原潜計画を打ち出したのが2021年だったが、まだ建造すら始まっていない。インドは、ロシアの技術を受けて原潜を導入するのに約30年を要した」 −原発で使うウラン燃料の濃縮や使用済み核燃料を、国内で再処理できるよう「米韓原子力協定」も見直す方向で議論が進む。 「韓国でウラン濃縮と使用済み燃料の再処理ができるようになれば、将来的には原潜の燃料も韓国で製造できるはずだ」 |
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