| [2025_11_08_02]デブリ初回収から1年 廃炉へ技術開発が鍵 採取1グラム未満、作業着手時期遅れ… 東京電力福島第1原発2号機(福島民報2025年11月8日) |
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09:33 東京電力福島第1原発2号機で原発事故後初めてとなる溶融核燃料(デブリ)の試験的取り出しが完了して7日で1年となった。東電は今春に2回目の採取に成功したが、取り出せた量は1グラムに満たない。今年度を予定したロボットアームによる作業の着手時期がずれ込むなど規模拡大に向けた困難さが次々と明らかになっている。東電は安全を最優先に1〜3号機に推計880トンあるデブリの取り出しを進める方針だが、より難しさを増す廃炉に対応した技術開発の必要性は一層高まっている。 デブリの試験的取り出しを巡っては、今春の2回目の成功を踏まえ、今年度後半のロボットアームでの作業も順調に進むと思われたが、カメラの不具合で再び準備の遅れが生じた。東電は8台のカメラのうち4台を変更する上、視認性の確認や検証作業に時間を要している。着手が2026(令和8)年度のいつ頃になるかは具体的に見通せていない。カメラの不具合は仕様よりも低い放射線量で発生したが、原因はメーカーが経営破綻しているため「不明」という。多くの企業が部品や技術の提供で携わる廃炉作業の課題の一つを露呈する形となった。 2回の試験的取り出しでつかみ取ったデブリの総量は約0・9グラムとなっている。日本原子力研究開発機構(JAEA)大洗原子力工学研究所などでの分析の結果、ウランが広く分布していることや人力で砕ける硬さだったことなど「大きな発見」(東電関係者)があった。現在は国内の研究機関で硝酸でデブリを溶かすなどしてさらなる詳細な分析を進めている。ウランがどの程度含まれるかなど詳細な結果が今秋にも公表される見込みだ。ただ、サンプルで分かる炉内の状況は一部にとどまっており、事故炉の全容把握に向けては、さらなる試料の確保が不可欠だ。 東電は取り出し規模の拡大に向け、さまざまな回収装置の導入を計画している上、安全に取り出すためのシステムの設計、構内へのデブリの保管施設や採取装置のメンテナンス用の施設整備などさらに関連する作業の幅を広げる方針だ。2号機で実績を積み上げ、技術開発に結び付けることが早期の3号機での本格的取り出し実現にもつながる。東電の担当者は「工程表上は遅れている部分もあるが、安全第一に慎重に作業を進めていく」と述べた。 ■東京電力福島第1原発2号機を巡るデブリの試験的採取後1年間の経過 2024年11月7日 約0.7グラムの試験的取り出し作業が完了 2024年11月12日 分析のためデブリを事故後初めて原発構外に搬出 2024年12月26日 JAEAが分析結果を公表。核燃料と構造物が混ざり合ったデブリと判断 2025年4月15日 2回目となる試験的取り出しに着手 2025年4月23日 約0.2グラムの試験的取り出し作業が完了 2025年5月29日 JAEAが2回目に採取したデブリの分析結果を公表。1回目とは異なる特徴が判明 2025年9月25日 3回目採取に使用するロボットアームに搭載しているカメラ交換に伴い、東電が着手時期を2025年度後半から2026年度に遅らせると発表 |
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