[2024_06_05_02]東電の再建計画見直し議論開始 原賠機構の運営委(日経新聞2024年6月5日)
 
参照元
東電の再建計画見直し議論開始 原賠機構の運営委

 19:35
 東京電力ホールディングス(HD)の筆頭株主である政府の原子力損害賠償・廃炉等支援機構は5日、東電の再建計画を見直す議論を始めた。現状では福島第1原子力発電所事故の処理費用が膨らみ、想定通りに進んでない。原発の再稼働など収益を改善する策を探る。
 東電は事故後に再建に向けた「総合特別事業計画」を立てた。東電は国が廃炉や賠償のために立て替えた費用に対し、年5000億円程度を返済する。同時に2030年度以降に純利益で4500億円を確保する。
 計画は3〜4年ごとに見直している。いまの計画を始めてから3年近くがたつため、同日開いた機構の運営委員会で新たな計画を作る話し合いを始めた。
 大きな論点になるのは、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働や事業再編を含む収益改善策の検討だ。
 東電は柏崎刈羽が1基再稼働すると年1100億円の収支改善につながると試算する。しかし新潟県の花角英世知事は再稼働を判断する時期や手法については明言せず、前提となる地元の同意がいつ得られるかは見通せていない。
 収益改善のもう一つの柱である事業の再編も具体的な案件は現状で乏しい。中部電力と火力・燃料の事業を統合したJERA(東京・中央)のような事例がさらに出てこなければ、収益の底上げは難しい。
 原発事故の処理に必要な23.4兆円の半分以上は東電自らが収益を上げ、返す仕組みになっている。廃炉と除染の費用全額、そして賠償費用の半分程度を負う。東電以外の大手電力会社や新電力も一部を負担する。中間貯蔵は国費でまかなう。
 政府は東電の再建計画を前提に、廃炉に伴う放射性廃棄物の中間貯蔵や事故の賠償が滞らないよう支援している。国は交付国債の発行を通じてお金を東電に貸しつけている。13.5兆円だった発行上限は23年に15.4兆円に引き上げている。
KEY_WORD:FUKU1_:KASHIWA_:廃炉_: