[2024_02_21_01]ロシア原発占拠長期化 電源喪失、取水ダム決壊も(東奥日報2024年2月21日)
 
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ロシア原発占拠長期化 電源喪失、取水ダム決壊も

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 ロシアによる侵攻から2年となるウクライナでは運転中の原発が標的となり、事故と隣り合わせの緊張状態が続く。南部にある欧州最大級のザポロジエ原発はロシア軍の管理下に置かれたまま。原発への直接的な攻撃は収まっているが、外部電源の喪失が度重なり、冷却水を取水するダムが決壊している。
 「事故はまだ起きていないが、現状に満足することは悲劇を招きかねない」。国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は今年1月、ザポロジエ原発の現状に改めて憂慮を示した。原発への攻撃はロシアも批准しているジュネーブ条約で禁じられている。
 2022年3月4日、ロシアはザポロジエ原発を制圧。砲撃で原子炉建屋や変圧設備が損傷し、送電線からの外部電源が一時喪失した。運転中の原発への攻撃は史上初となった。原発は停止後も電気でポンプを動かして核燃料を冷やす必要がある。非常用ディーゼル発電機もあるが、燃料がなくなれば東京電力福島第1原発のような大事故につながる恐れもある。
 IAEAによると、電源喪失はこの2年で8回にも及ぶ。今も原発周辺では大規模な軍事行動が続いており、一度は撤去した地雷が再び埋められていることも確認した。昨年6月は、冷却水を取水していた南部ヘルソン州のカホフ力水力発電所のダムが決壊し、燃料冷却への影響が懸念された。現在は井戸水を使っており、十分な量が確保されているという。
 ロシアはチェルノブイリ原発も侵攻当初から約1カ月占拠した。昨年10月には無人機攻撃でフメリニツキー原発の管理棟や送電線が損傷し、周辺で停電が発生した。グロッシ氏はザポロジエ原発周辺に非武装の「安全管理区域」の設置を提唱するが、実現には至っていない。
 原発問題に詳しい笹川平和財団の小林祐喜研究員は「停戦が難しい情勢である以上、国際社会が原発を安全に監視できるよう、非武装地帯の設置を真剣に検討するべきだ」と話す。
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