[2024_02_02_05]28日に起きた東京湾の地震は「ミニ首都圏直下型」 ほんの少し大きければ大被害 大阪北部地震の教訓 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その527 島村英紀(地球物理学者)(島村英紀2024年2月2日)
 
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28日に起きた東京湾の地震は「ミニ首都圏直下型」 ほんの少し大きければ大被害 大阪北部地震の教訓 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その527 島村英紀(地球物理学者)

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 地震は先月28日午前8時59分に起きた。
 震度4の揺れを東京の中央区、港区、品川区、渋谷区、練馬区、葛飾区、調布市、町田市で記録したほか、神奈川県でも鶴見区、神奈川区、保土ケ谷区、港北区、戸塚区、緑区、瀬谷区、ほか川崎市川崎区で震度4を観測した。
 東京と神奈川県のほか、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県の各地で観測し震度3を記録した。
 歩いていても感じる震度が4だから、かなりの人がびっくりしただろう。
 2005年7月23日に起きた首都圏に広く震度4を記録した地震や、15年9月12日の広く震度3を記録した東京湾地震など、以前に起きた地震のきょうだいで、地震の巣には起きやすい地震だ。
 いわば、“ミニ首都圏直下型地震”である。フィリピン海プレートが起こした地震で、あとほんの少しだけ大きければ大被害である。
 気象庁が発表する震源は0.1度刻みだから気をつけないといけない。
 東京湾と港区はすぐ近くなのだ。
 ところで18年6月に起きた大阪北部地震(マグニチュード=M=6.9)から、次の関東地震が学ぶべきことは多い。大阪北部地震は都市型被害が目立った。
 ブロック塀が倒れて死者が出たほか、駅間で緊急停車した列車が143本、閉じ込められた乗客は約14万人に上った。
 大手私鉄の阪急、南海、阪神、京阪が全線で止まったほかJRも各地で止まり、人々が線路を歩かされた。帰宅困難者が400万人もあった。
 断水やガスなどライフラインの寸断が続いた。ガスの開栓作業には住民の立ち会いが必要だが、仕事で日中は不在が多いという都市型の事情もあった。
 この地震はそれほどの大地震ではなかったが、震度7には達していなくても恐ろしい。
 エレベーターも都会の大問題だ。震度4など、一定程度の揺れが観測されるとエレベーターは自動で停止することになっている。
 エレベーターに閉じ込められた件数は大阪北部地震で339件で東日本大震災(11年)の1.6倍もあった。
 技術者が限られているうえ、復旧の順番は明確に決まっている。
 最優先するのはエレベーター内に閉じ込められた人の救出、次いで病院などの建物、行政機関が入る公共施設、高さ60メートル以上の高層住宅の順だ。
 一般のマンションは最後になる。
 だが、たとえ低層階でもエレベーターを使うことが当たり前になり、エレベーターが停止することで大きく影響することが多い。
 通勤難民、交通渋滞、エレベーターなど、大都会が地震に弱いことをまざまざと見せつけた大阪北部地震の教訓を忘れるわけにはいくまい。
 首都圏は関東大震災の再来、フィリピン海プレートが起こす海溝型地震のほかに直下型地震が起きて来た。
 日本の中では群を抜いて「地震が起きる理由」が多いところだ。
 (島村英紀さんのHP http://shima3.fc2web.com/
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より 2月2日の記事)
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