[2024_01_05_09]アイスランド首都付近で噴火…影響は? 大きな地震の前触れ、温泉地「ブルーラグーン」閉鎖 航空機への影響は今のところなし 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その525 島村英紀(地球物理学者)(島村英紀2024年1月5日)
 
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アイスランド首都付近で噴火…影響は? 大きな地震の前触れ、温泉地「ブルーラグーン」閉鎖 航空機への影響は今のところなし 「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その525 島村英紀(地球物理学者)

 1日に石川県能登地方を震源とするマグニチュード(M)7.6の地震が発生した。死者は70人以上になり、今後も被害の拡大が懸念される。
 マグマが地表近くに上昇してくることも地震の原因の一つだが、これが地表に噴き出すと、噴火が起きた可能性もある。
 2023年12月18日にアイスランド南西部のレイキャネス半島にある火山が噴火した。首都のあるレイキャネス半島では、21年まで800年にわたって噴火が起きていなかったので久しぶりの首都に近い噴火である。
 噴火は現地時間の午後10時ごろから始まった。これに先立って午後9時ごろに大きな地震があった。これは前兆に違いない。
 アイスランド気象庁からメールが来て「10月後半から地震活動が活発になっていて、10月から11月にかけては地面の隆起が起きて、11月3日以降はその膨張率、つまり地殻変動が増加していた」と言ってきた。
 レイキャビクから約40キロの地点に位置する人口約4000人のグリンダビクでは同11日、噴火の前兆が確認されたため、住民約4000人が避難した。地震活動で道路が割れ、建物が損傷した。
 警察や市民保護当局が警戒に当たる中、住民は貴重品を取りに数分間だけ自宅に戻ることが許された。住民は家具や絵画などを車いっぱいに積んで持ち出す人々がいた。なかには家具よりも大切な羊を運び出している人もいたという。
 著名な温泉地であり、世界一の広さを持つブルーラグーンも、グリンダビクに近く火口になるかもしれないということで閉鎖された。明らかな地殻変動が記録されたのだ。
 アイスランドを訪れる観光客は激増している。10年には年間49万人だったものが、17年には222万人にもなった。
 首都に近いブルーラグーンのプールは観光地としても有名で、この国に来る観光客の約9割が訪れるという。
 温水の温度は、地熱発電所が運営する発電後でも70度もあり、水で薄めて約40度に維持されている。
 このほか、この国には温水プールが150もあり、雪が積もっている冬でも人々でにぎわっている。
 アイスランドには33の活火山があり、噴火は珍しくない。ただ、首都に近いところで噴火するのは珍しい。
 世界的な偏西風の影響から航空便に影響が出る可能性が心配された。
 今日現在、この影響は出ていない。
 近年のアイスランドでの噴火で世界的な大問題になったのは10年に起きたエイヤフィヤトラヨークトルの噴火だ。
 エイヤフィヤトラヨークトルとは、アイスランド南部に広くある氷河の底にある氷底火山だ。
 この噴火の影響は欧州全域に及び、1日に2万便という大量の航空機が発着できなくなった。
 航空会社の損失は1日あたり約180億円に達した。
 この影響は日本にまで達して、日本を発着する多くのヨーロッパ便が止まり、日本人がヨーロッパから帰れなくなったのは記憶に新しい。
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