[2024_01_15_07]志賀原発、完全復旧に半年以上 再稼働審査、さらなる長期化も(産経新聞2024年1月15日)
 
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志賀原発、完全復旧に半年以上 再稼働審査、さらなる長期化も

 20:35
 能登半島地震で震度7を記録した石川県志賀町に立地する北陸電力志賀原発は、重要施設に安全上の大きな被害はなかったが、外部電源の一部は今も使えず、北陸電は完全復旧に少なくとも半年以上かかるとの見通しを示す。9年に及ぶ再稼働審査のさらなる長期化は必至で、同社が目指す早期稼働の道のりは険しい。
 「断層を確定するにも年単位、審査はそれ以上の時間がかかる」。10日の記者会見で、原子力規制委員会の山中伸介委員長は、現在審査中の志賀原発2号機の見通しに言及した。
 志賀原発は運転停止中だったが、今回の地震で1、2号機の変圧器配管が破損し、外部電源5回線のうち2回線が使えなくなった。変圧器からは約2万リットルの絶縁油が漏れ、一部が海に流出。使用済み燃料を冷やす貯蔵プールの水も飛散し、1号機では一時冷却ができなくなった。
 13年前に起きた東京電力福島第1原発事故では地震によって外部電源が失われ、津波で発電所内が浸水、全電源を喪失した。この結果、原子炉を冷却する機能が停止、メルトダウン(炉心溶融)につながった。今回の地震でも地震発生から約1時間後に最大3メートルの津波が到達したが、原発の敷地は海抜11メートルの高さにあり、さらに4メートルの防潮堤が設置されていたため浸水被害はなかった。
 だが、想定外もあった。原子力規制庁によると、地震の揺れの大きさを示す加速度が、原子炉建屋の基礎部分で設計上の想定をわずかに上回った。東西方向の0・47秒周期の揺れに対し、1号機では957(想定は918)ガル、2号機では871(同846)ガルを観測した。
 原発は建物や設備ごとに揺れやすい周期があり、構造物の揺れの大きさもそれぞれ想定が異なる。ただ、今回観測された周期帯は原子炉建屋など重要施設への影響はなく、規制庁も「安全上の問題はない」としている。
 能登半島地震は150キロに及ぶ活断層がずれ動いて起きたとの見方が強まり、未知の断層と連動した可能性も指摘されている。震源近くでは地盤の隆起が確認され、志賀原発でも海側にある物揚場の舗装部が沈下し、最大35センチの段差が生じた。
 原発の安全対策を定めた新規制基準では、原子炉直下に活断層が存在する場合、運転ができなくなる。北陸電は平成26年に2号機の再稼働に向けた審査を規制委に申請。敷地内断層が活断層か否かを巡り議論が長引いたが、北陸電は新たな評価手法を導入し昨年3月、「活断層ではない」との主張が認められたばかりだった。今後の審査でも周辺の活断層との連動性などを検討するが、北陸電がこれまで想定した断層帯の評価に見直しを迫られる可能性もある。(白岩賢太)

KEY_WORD:能登2024-0.47秒周期で想定加速度を超えた_:NOTOHANTO-2024_:FUKU1_:SIKA_: