[2023_12_10_02]東京電力の「適格性」って何なの?誰が、どう判断するの? 新潟県には柏崎刈羽原発が立地(新潟日報2023年12月10日) |
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7:00 東京電力の柏崎刈羽原発が立地する新潟県内で、東電の「適格性」が話題に上がっています。 そもそも東電の適格性とは、どのようなもので、何を指すのでしょうか。 適格性とは、原発を運転する資質や能力のことです。とりわけ、東電が安全性を最優先に行動する企業であるか、不都合な情報を隠す体質はないかなどの点について、十分な規則や体制などが備わり、守り続けられるかが問われています。 東電は2011年に福島第1原発事故を起こしました。しかし、東電は事故前から点検記録の改ざんをはじめ、安全性よりも利益や企業の理屈を優先させるような行動や不祥事を重ねてきました。原発の立地地域を軽視するような姿勢も取ってきました。 その度に地元住民の不信感は強まりました。東電の資質や適格性を疑問視する声は、住民だけでなく、新潟県内の自治体の長などからも上がっています。 こうした地域の声とは別に、原発の安全規制を担う国の機関「原子力規制委員会」が、東電の「適格性」を判断するとしています。 東電のテロ対策(核物質防護)で重大な不備が相次いだからです。 2020年9月には、柏崎刈羽原発の運転員が同僚のIDカードを不正に使い、原発中枢である「中央制御室」に入る事案がありました。21年には、侵入者を検知する設備が長期間にわたって故障していたことが判明しています。 問題を重く見た規制委は、21年4月に柏崎刈羽原発の運転を実質的に禁止する命令を出しました。 この命令を解除するかどうかを決めるための判断基準の一つが、適格性の有無ということです。 では、規制委は何をもって「適格性」があるかどうかを判断するのでしょう。 東電が規制委から「適格性」を問われたのは、今回だけではありません。 福島第1原発事故の後、原発を運転するルールが変わりました。すでにある原発でも規制委が審査で「合格」と判断しなければ、運転できなくなりました。 東電は福島事故の当事者です。その東電が再び原発を動かそうとしているため、規制委は東電にだけ「適格性」を求め、確かめたのです。東北電力など他の電力会社には求めませんでした。 審査の中で東電は「七つの約束」=下の表参照=をしました。安全を最優先にすることや、社長をトップとする内部統制の仕組みなどについてです。規制委は、原発を運転するルール「保安規定」にこの約束を盛り込むよう、東電に求めました。これを適格性の担保とする形で、審査に「合格」を出しました。 東京電力が保安規定に盛り込んだ「七つの約束J 1 福島第1原発の廃炉をやりきる覚悟と実績を示す 2 柏崎刈羽原発の安全対策に必要な投資を行い、安全性向上を実現 3 いかなる経済的要因があっても安全性の確保を前提とする 4 安全を最優先した経営上の判斬を行い、内容を速やかに発信 5 規制基準の順守にとどまらず、自主的に発電所の安全性を向上する 6 社長はトップとして原子力安全の責任を担う 7 関係部門の異なる意見や知見を一元的に把握し、発電所の安全性を向上する 規制委の事務局である原子力規制庁は、この「七つの約束」を基に東電の基本姿勢について今回、再確認しました。12月6日に規制委へ現状を評価する報告があり、委員からも異論は出ませんでした。 規制委は12月11日、柏崎刈羽原発で現地確認をする予定です。東電の社長ら経営層からは、今後の取り組みや決意を聞くことにしています。これらを判断材料として、2023年内に命令を解除するかどうかの最終判断をする見通しです。 ただ、柏崎刈羽原発の地元では、東電に対する不信感は根強く、疑念が拭い去られていません。 原発の安全性について地域の住民が議論する「原発の透明性を確保する地域の会」の場などでは、規制委が再確認した内容について詳しく説明を求める声が上がっています。 |
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