[2023_11_16_06]調査報告書の回答内容、一律非公開は「違法」 第二審も福井県が敗訴、高浜町元助役からの金品受領問題(福井新聞2023年11月16日)
 
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調査報告書の回答内容、一律非公開は「違法」 第二審も福井県が敗訴、高浜町元助役からの金品受領問題

 午前6時00分
 関西電力役員らに多額の金品を渡していた福井県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)が、福井県職員にも金品を贈っていた問題の調査報告書を巡り、市民オンブズマン福井が県に不開示取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が11月15日、名古屋高裁金沢支部であった。吉田尚弘裁判長は「調査対象者の回答内容を一律に非公開としたのは違法」として、一審福井地裁判決を支持し、県側の控訴を棄却した。一方で、回答内容が個人情報に該当し非公開とする部分があるのかどうか改めて検討すべきだとし、原告側の請求を全面的に認めた一審から一部後退する判断となった。
 吉田裁判長は判決理由で「県職員の職務遂行に係る情報で、公開が義務付けられているものを多数含む」と指摘、一律の非公開を違法と結論づけた。県側の▽調査対象者と調査委員会との間で公開しない「黙示の合意」があった▽同様の調査で協力を得られなくなる恐れがある―との主張も退けた。
 一方で、提出された全ての証拠によっても「公開が義務付けられるものと非公開とすることが許されるものとに識別することはできない」と強調。非公開とし得る部分があるかを検討すべきと指摘した。
 判決などによると、同オンブズのメンバーが県情報公開条例に基づき、報告書の基礎・根拠となった資料一式の開示を請求したが、県は一部を不開示とした。メンバーは取り消しを求めて提訴。昨年9月の一審判決では、県が不開示とした調査対象者の回答内容について「公務の公正に強く関わる情報だ」とし、開示しても「公務員らの権利利益を不当に害する恐れはない」と同オンブズの請求を全面的に認めていた。
 判決後、石川県金沢市内で記者会見した同オンブズの伊東晴美さんは「県が控訴したこと自体許せなかったが、棄却という判決が出てほっとしている。県は上告せずに、公文書は原則公開だということを再認識してほしい」と訴えた。
 杉本達治知事は「主張が認められなかったことは誠に遺憾。判決を十分精査した上で対応を検討する」とのコメントを出した。

 福井県幹部の金品受領問題

 関西電力役員らが福井県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)から金品を受領していたことを受け、福井県は2019年10月に調査委員会を設置。退職者を含む377人を調査対象とし、聞き取りや書面で313人から回答を得た。同11月公表の報告書によると、現役12人と退職者97人の計109人が森山氏から金品や贈答品を受領していた。県は純金小判と商品券の計20万円相当を受け取った現役1人を戒告の懲戒処分、退職者28人を戒告相当、書面訓戒相当などとした。
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