[2023_10_24_05]「地上の太陽」へ日本独自の一歩 プラズマ実現成功、研究進展に期待(毎日新聞2023年10月24日)
 
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「地上の太陽」へ日本独自の一歩 プラズマ実現成功、研究進展に期待

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 量子科学技術研究開発機構(QST)は24日、日本が主導し、欧州連合(EU)と共同開発を進めている茨城県那珂市の核融合実験装置「JT―60SA」が核融合反応を起こすための条件となるプラズマの実現に成功し、実験運転を開始したと発表した。成功したのは23日。「地上の太陽」と称される核融合炉の開発に各国がしのぎを削る中、世界最先端の実験装置の稼働により、日本独自での開発に向けた大きな一歩を踏み出した。
 核融合は、温室効果ガスを排出せず、安全で無尽蔵なエネルギー源となる可能性があり、近年は欧米など各国で研究が進展している。核融合炉は、重水素と三重水素の原子核が衝突、融合する際に発生するエネルギーを利用し、発電する。原子核同士がぶつかり合うためには、高温で電子と原子核がバラバラに飛び回る「プラズマ状態」を生成し、安定させることが必要だ。
 JT―60SAは直径13メートル、高さ16メートル。日米欧やロシア、中国、韓国の7カ国・地域がフランスで建設を進める国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」と同じ「トカマク型」と呼ばれる装置で、ドーナツ形の容器で強い磁場を作り、重水素のプラズマを閉じ込める。
 将来の核融合炉の商用化に向けては、炉を小型化し、建設コストを抑えることが重要となる。だが小型炉で十分な核融合反応を確保するには、炉の圧力を高めなければならない。今回の装置は、直径30メートル、高さ30メートルのITERより一回り小型。高圧力下で、定常的に核融合反応を維持する方法を研究する。セ氏1億度のプラズマを連続で100秒間維持することが目標だ。2027年以降に運転開始予定のITERにも応用可能な実験データを蓄積し、その開発にも活用する方針。(後略)
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