[2023_09_05_02]「新型原子炉」を推進する意図は何か 「小型・浮体」原発開発は原子力艦船用の原子炉技術を蓄積するのが真の目的ではないか 上岡直見(環境経済研究所代表)(たんぽぽ2023年9月5日)
 
参照元
「新型原子炉」を推進する意図は何か 「小型・浮体」原発開発は原子力艦船用の原子炉技術を蓄積するのが真の目的ではないか 上岡直見(環境経済研究所代表)

 ◎ 2013月9日2日〜3日に福島大学で[第6回「原発と人権」全国研究・市民交流集会inふくしま]が開催され、地元漁業者・農業者からの報告など貴重な内容が多数あった。
 全体の紹介は膨大なので別の機会として、「日本反核法律家協会」の大久保賢一弁護士のコメントで一つ気づいたことがあるので紹介したい。
 ◎ 政府はいわゆるGXの一環として「新型(小型)原子炉」を推進している。広い意味で原子力産業の延命策であるといえるが、もう一つの側面は軍事との関係である。
 この面では核兵器の原料となるプルトニウムの蓄積がしばしば指摘されるが、それよりも大久保弁護士のコメントで気づいたのは、新型(小型)原子炉のうち浮体型についてである。
 ◎ 浮体の長所として、「津波の影響が少ない、崩壊熱除去に大量の海水を利用しやすい、沖合に設置すれば事故時にも住民避難が不要」などと説明されている。(※) その説明はいずれも技術的には疑わしいが、「小型・浮体」ということは原子力艦船と密接に関連する。
 もともと加圧水型原発は、原子力潜水艦の動力システムとして先に開発され、それを陸上に転用したものである。
 ◎ 密閉された艦内に設置するから、沸騰水型のように炉心に直接触れた水の蒸気をタービンに回すと乗員が高度に被ばくするので、蒸気発生器で熱だけを蒸気に移して(放射性物質が多少は移行する)タービンに回す方式である。
 つまり「小型・浮体」で原子力艦船用(陸上定置型ではない移動式)の原子炉の技術を蓄積するのが真の目的ではないか。
 (※)姉川尚史(東電HD)「浮体構造による原子力発電所の画期的安全性向上」日本原子力学会誌2021年10年
KEY_WORD:岸田首相_次世代-原発_検討指示_: