[2023_08_31_25](関東大震災100年)地震多発の茨城県 「M7に十分な備えを」 専門家が警鐘(茨城新聞2023年8月31日)
 
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(関東大震災100年)地震多発の茨城県 「M7に十分な備えを」 専門家が警鐘

 1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災は、9月1日で100年となる。首都圏を中心に死者・行方不明者は10万5千人を超え、茨城県内でも家屋倒壊や脱線事故などで死者13人、建物の全半壊483棟の被害をもたらした。地震を引き起こす岩盤プレートが複数あり、地震が多発する茨城県。専門家は、マグニチュード(M)7程度の地震が今後発生する可能性を指摘している。
 内閣府がまとめた調査報告書などによると、100年前の9月1日午前11時58分、相模湾北西部を震源にマグニチュード(M)7・9の地震が発生。建物倒壊や火災が各地で相次いだほか、沿岸部に津波が押し寄せ、山間部では土砂災害も多発した。死者・行方不明者は約10万5千人で、火災が死因の約9割を占める。被害総額は100億円以上と推定され、当時の国家予算の7倍に及んだ。国は60年、9月1日を「防災の日」として定めた。
 県内では南西地域で強い揺れが発生。倒壊した家屋の下敷きになったり、地震に驚いた馬が幼児をひき殺したりして5人が死亡。また、激しい揺れで常磐線列車の脱線事故が発生し、乗客8人が死亡、50人が重軽傷を負ったという。
 茨城県周辺の海底は、地球の表面を覆うプレートと呼ばれる巨大な岩盤が三つぶつかり合い、地震活動が活発な地域。気象庁のまとめでは、過去20年間に起きた震度1以上の地震回数は、茨城県が都道府県別で3番目に多い8238回。最多は福島県の9243回、次いで宮城県の8296回と、いずれも全国平均の1100回を大きく上回っている。
 政府の地震調査研究推進本部によると、県内に被害を及ぼしたM7以上の地震は明治以降で6回。中でも、1895年に霞ケ浦付近で起きたとされる地震(M7・2)は、首都圏を含む関東南部で繰り返し発生する地震の一つだったとみられる。
 防災科学技術研究所(防災科研、つくば市)は、今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率は水戸市で81%と試算。県内の広い範囲でも高い確率という。
 防災科研の汐見勝彦博士は「プレート境界は断層が広がりやすく大地震を起こしやすい。耐震性の低い建物が壊れるM7程度の地震はいつ起きてもおかしくないので、十分な備えが必要」としている。
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