[2023_08_31_22]関東大震災 朝鮮人虐殺「記録ない」 官房長官 資料の存在を無視(赤旗2023年8月31日)
 
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関東大震災 朝鮮人虐殺「記録ない」 官房長官 資料の存在を無視

 松野博一官房長官は30日の記者会見で、関東大震災当時に起きた朝鮮人虐殺について「政府内において事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」と述べ、歴史的事実の有無への言及を避けました。政府としての教訓や反省についても一切答えませんでした。
 虐殺をめぐり事実を否定する歴史修正主義的な言説が広がっていることに対し、事実関係を政府として調査する考えがあるかの問いには、「記録が見当たらない」と繰り返すだけで後ろ向きの姿勢をあらわにしました。
 虐殺に関する真相究明は、多くの研究者・市民によって行われてきました。歴史学者の故姜徳相(カン・ドクサン)氏が国会内で発掘した関東大震災時の海軍「公文備考」や、同じく歴史学者の松尾章一氏が東京都立図書館で陸海軍資料を見つけるなど、公文書史料の発掘は進んできた経過があります。内閣府中央防災会議の災害教訓の継承に関する専門調査会報告書『一九二三関東大震災 第二編』でも虐殺が起こったことは認定されています。
 ただ、5月23日の参院内閣委員会では、当時の虐殺を裏付ける記録について警察庁の楠芳伸官房長は記録が見当たらないとし、「仮に資料を確認しても、内容を評価することは困難」と繰り返しました。松野氏の発言はこうした政府見解に基づくものとみられます。
 関東大震災から9月1日で100年を迎えるなか、政府は公文書を含めた多くの資料が存在するにもかかわらず、否定的な姿勢を示しました。歴史に向き合わない異常な姿勢があらためて浮き彫りになっています。
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