[2023_08_31_09]高市早苗安保相はいつの間に変節? 中国への強硬姿勢も処理水の海洋放出「猛反対発言」の過去(日刊ゲンダイ2023年8月31日)
 
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高市早苗安保相はいつの間に変節? 中国への強硬姿勢も処理水の海洋放出「猛反対発言」の過去

 2023/08/31 13:55
 福島第1原発の処理水放出を受けて水産物の禁輸を決めた中国に対し、高市経済安保相が勇ましく拳を振り上げている。
 29日の会見で、中国側の対応を「経済的な威圧」と批判。「何らかの形での対抗措置を検討する段階」とWTO(世界貿易機関)への提訴なども示唆した。高市氏の対決姿勢に中国嫌いの支持層は拍手喝采だが、ちょっと待て。高市氏は2年前の自民党総裁選で処理水の海洋放出に大反対していたはずだ。
 出馬会見で、当時の菅政権が処理水放出を決めたことについて問われると「大変驚いた」と言い、2015年に政府が福島県漁連に対し「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分も行わない」と約束した文書の名義人は自分だと明かした。当時の宮沢洋一経産相が海外出張中だったため、臨時代理として総務相の高市氏の名前で発出されたという。
 その上で、「私の名前が使われているのもあって非常に強い責任を感じている」「日本全体に風評被害を広げてしまう可能性がある。リスクがある限り、私であれば放出の決断はしません」と明言。「他の選択肢も含めてしっかりと考える」と、処理水の海洋放出にハッキリ反対していた。
 高市氏は、菅政権が海洋放出を決定した直後の21年4月14日にも、公式サイトのコラムで「あまりにも不誠実」と断罪。「少なくとも官庁が閣僚の氏名を使って文書で約束した内容は、絶対に守っていただかなくては困ります」とつづっていた。いつの間に変節したのだろうか。

 夫も政府方針を批判

 実は、高市氏の夫の山本拓前衆院議員も、政府の放出方針を厳しく批判していた。自民党現職だった21年4月に日刊ゲンダイの取材に応じ、こう話している。

<断っておきますが、自分は原発推進派です。菅首相も支持しています。ただ、原発処理水に関する報道は、事実と異なることが多いので、国民に事実を伝えるべきだと思っています>

<ALPS処理水と、通常の原発排水は、まったく違うものです。ALPSでも処理できない核種のうち、11核種は通常の原発排水には含まれない核種です。通常の原発は、燃料棒は被膜に覆われ、冷却水が直接、燃料棒に触れることはありません。でも、福島第1原発は、むき出しの燃料棒に直接触れた水が発生している。処理水に含まれるのは、“事故由来の核種”です>
 高市氏は、中国への対抗措置を振りかざす前に、岸田首相に放出停止を進言すべきだったのではないか。どうせ内閣改造でお役御免なら、閣内不一致をいとわず信念を貫いた方が国民の支持を得られるかもしれない。
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