[2023_08_29_05]処理水のモニタリング、実態は? 分析強化で異常をいち早く検知(毎日新聞2023年8月29日)
 
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処理水のモニタリング、実態は? 分析強化で異常をいち早く検知

 2023/8/29 21:33
 東京電力福島第1原発からの処理水の海洋放出を巡っては、SNS上で「トリチウム以外の放射性物質を測定していない」との投稿もみられる。実際はどうなのだろうか。
 東京電力や環境省、水産庁が実施している従来のモニタリングは、福島第1原発の周辺で採取した海水や魚から、トリチウム以外の放射性物質も測っている。対象はセシウムやストロンチウムなど数種類だ。ただし、試料に含まれるごくわずかな放射性物質の量を正確に測るため、結果が出るのに1カ月前後かかる。
 このため放出開始を見越し、各機関は2022年度から、トリチウムのみを対象にしたモニタリングを新たに加え、地点や頻度を増やした。迅速な分析を優先し、水質に異常がないかいち早く検知するためだ。
 東電は1日で結果が出るよう、このモニタリングではトリチウムの検出限界値を従来の10倍(1リットルあたり10ベクレル)に緩めた。だが、東電が放出を止める基準は同700ベクレルと限界値よりもはるかに高く、問題はないという。
 そもそも処理水は、汚染水を多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で処理し、トリチウム以外の放射性物質を基準値未満に下げた水だ。それをさらに海水で薄め、トリチウム濃度を国の基準値の40分の1(1リットルあたり1500ベクレル)未満に下げてから海洋放出している。
 他の放射性物質が基準値未満に下がったかどうかは、日本原子力研究開発機構など、東電以外の第三者機関も分析して確認している。処理後にごくわずかに残ったものも、さらに薄められて海へ放出されることになる。【高橋由衣】
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