[2023_08_22_06]処理水放出、与党「重い決断」=野党「漁業者の約束ほご」 (時事通信2023年8月22日)
 
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処理水放出、与党「重い決断」=野党「漁業者の約束ほご」

 2023-08-22 18:32
 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を24日に始めるとの政府方針を受け、与党からは22日、「重い決断だ」と評価する声が上がった。野党からは岸田文雄首相の判断への理解の一方、「漁業者との約束をほごにした」と批判する意見も出た。
 首相在任中の2021年4月に海洋放出を方向付けた自民党の菅義偉前首相はX(旧ツイッター)で「私が決めた方針に基づくものだ。福島第1原発の廃炉を進め、福島復興を実現する上で大きな一歩だ」と歓迎。「安全性確保と風評対策徹底に万全を期して取り組んでほしい」と求めた。
 茂木敏充幹事長は記者会見で「先送りできない課題に一つ一つ結論を出すとの方針に基づき、適切に判断がなされた」と指摘。公明党の石井啓一幹事長は「判断は尊重したい」と記者団に語った。
 野党の反応は割れた。立憲民主党の岡田克也幹事長は会見で「科学的に(海洋放出の)安全性は明らか」としつつ、政府と東電が福島県漁業協同組合連合会と交わした「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」との約束に言及。「約束が守られたとはとても言えない。(首相は)誠実な態度ではない」と批判した。
 日本維新の会の馬場伸幸代表は取材に「決断は評価する」と述べる一方、「風評被害など何が起きるか予想できない。不測の事態に備えた体制を要望する」と注文を付けた。国民民主党の玉木雄一郎代表も記者団に「長い道のりになるので、粘り強い説明と説得を続けてほしい」と語った。
 共産党の志位和夫委員長は会見で「漁業者との約束を放り投げるものだ。聞く耳を一切持たない首相の政治姿勢は日本の民主主義の根幹を揺るがす」と非難。社民党の福島瑞穂党首は取材に「海洋放出ありきで突っ走った。みんなの海に放射性物質を拡散する行為は許されない」と強調した。
[時事通信社]
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