[2023_08_20_05]首相、原発処理水の現場を視察「先送りできない」 海洋放出22日判断へ 「関係者の理解」には言葉濁す(東京新聞2023年8月20日)
 
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首相、原発処理水の現場を視察「先送りできない」 海洋放出22日判断へ 「関係者の理解」には言葉濁す

 2023年8月20日 19時38分
 東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水を浄化処理した後の水の海洋放出計画を巡り、岸田文雄首相は20日、原発の関連設備を視察した。終了後は記者団に、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長と21日に面会し、政府の考えを伝える意向を示した。22日に関係閣僚会議を開き、放出時期を最終判断するとみられる。

 ◆福島第一原発周辺では放出への抗議活動も

 岸田首相は記者団に、処理水の海洋放出について「廃炉と福島の復興を進めていくために先送りできない課題だ」と強調。具体的な開始時期は言及しなかった。
 政府、東電と福島県漁連が交わした「関係者の理解なしにはいかなる処分もしない」との約束について理解を得られたか、との質問には「地元漁業者に説明を重ね、風評や生業継続への懸念や要望を聞いている。懸念に寄り添い対応する」と述べるにとどまった。
 視察では、汚染水を浄化処理する多核種除去設備(ALPS=アルプス)などの設備を確認し、東電の担当者から説明を受けた。視察後は東電幹部と意見交換し「放出が行われる長期間、緊張感と万全の体制を維持していくように」と求めた。小林喜光会長は「風評を生じさせない覚悟と責任感を持ち取り組む」と述べた。
 この日、福島第一原発近くの国道では「海洋放出反対」などと書かれたプラカードを持った市民が集まり抗議活動を行った。(片山夏子)

 東京電力福島第一原発の処理水 1〜3号機内の溶け落ちた核燃料(デブリ)の冷却作業で発生する汚染水を「多核種除去設備(ALPS)」で浄化処理した水。放射性物質トリチウムが除去できずに残っている。8月3日時点の貯蔵量は約133万トンでタンク容量の97%。政府と東電の計画では、処理水に大量の海水を混ぜ、トリチウム濃度を国の排水基準の40分の1未満にした上で、沖合約1キロの海底から放出する。
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