[2023_08_20_02]中ロ、原発処理水「大気放出検討を」 日本政府に要求(日経新聞2023年8月20日)
 
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中ロ、原発処理水「大気放出検討を」 日本政府に要求

 2023年8月20日 18:12
 【北京=共同】中国、ロシア両政府が東京電力福島第1原発の処理水を巡り、大気への水蒸気放出を検討するよう7月に日本政府に直接求めたことが20日分かった。複数の外交筋が明らかにした。日本に海洋放出計画を先送りさせ断念に追い込むことを目指し、共同歩調を取ったとみられる。日本政府は中ロに反論していく方針だ。
 中ロが7月下旬、日本政府に20項目の質問リストを共同で提出し、水蒸気放出は海洋放出より「周辺諸国への影響が少ない」と主張した。国際原子力機関(IAEA)にも同様の文書を送った。日本政府関係者は要求の「受け入れは不可能」と話した。近く海洋放出に踏み切る見通しだ。
 水蒸気放出は放射性物質トリチウムを含む処理水を蒸発させ大気中に排出する方法。日本政府内で一時検討されたが、大気中の放射性物質のモニタリングが海洋よりも難しいなどとして見送られた。
 中ロは質問リストで、大気中の放射性物質のモニタリング手法は技術的に確立されていると指摘して日本政府の見方を否定。海洋放出の必要経費は約34億円で水蒸気放出の10分の1にとどまるとする日本側の試算を引用して「日本の選択が経済的コストの考慮に基づくのは明らかだ」と主張した。
 IAEAのグロッシ事務局長は海洋放出以外の選択肢に否定的な見解をCNNテレビのインタビューなどで表明している。中ロ両国は昨年にも2度にわたり質問リストを日本政府に提出していた。
 過去の原発事故では、1979年のスリーマイルアイランド原発事故で大気放出を実施したことがある。
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