[2023_08_19_02]岸田首相、あまりに性急では?海洋放出まで「最終段階」と明言 「漁業者の理解」は後回しでいいの?(東京新聞2023年8月19日)
 
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岸田首相、あまりに性急では?海洋放出まで「最終段階」と明言 「漁業者の理解」は後回しでいいの?

 2023年8月19日 20時22分
 <解説> 岸田文雄首相が、東京電力福島第一原発の処理水を海洋放出する政府の計画を実施するかどうか、判断の最終段階に入っていると明言した。外遊先である米国の支持と理解を根拠に、「放出ありき」の政府方針を既成事実化し、国内の関係先への十分な説明を後回しにする姿勢を鮮明にした形だ。

 ◆岸田首相が急変 17日「決まってない」→18日「最終段階」

 政府は本来、処理水について「(漁業者など)関係者の理解なしに処分しない」との方針だった。首相も訪米直前までは「具体的な時期は決まっていない」と強調してきた。
 一方で、関係者の理解を得る見通しは立たないままだ。首相は今月7日に「漁業者との信頼関係は少しずつ深まっていると認識している」と述べたものの、地元の福島県漁業協同組合連合会は「何を捉えてそう言っているのか、私には分からない」(野崎哲会長)と引き続き反発。全国漁業協同組合連合会(全漁連)への説明もこれからだ。
 今回、韓国の尹錫悦大統領との会談では、処理水の問題が議題とならなかった。韓国国内での反発に配慮したとみられるが、日本の農水産物の輸入規制緩和を求めることもなかった。
 首相はこれまでも、防衛費の大幅増やそれに伴う防衛増税などで、国民への丁寧な説明よりも政府方針の推進を優先してきた。処理水の海洋放出についても、「最終段階」と言及するのはあまりにも性急で、生活の先行きを懸念する漁業者などの不安を増幅させることにつながる。(佐藤裕介)
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