[2023_07_30_03]西村経産相 福島の漁業関係者と面会 “廃炉まで風評対策継続” (NHK2023年7月30日)
 
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西村経産相 福島の漁業関係者と面会 “廃炉まで風評対策継続”

 2023年7月30日 18時53分
 福島第一原発にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する政府の方針をめぐって、西村経済産業大臣は福島県を訪れて漁業関係者と面会し、廃炉が完了するまで風評対策に取り組む考えを示しました。
 政府は、福島第一原発にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、基準を下回る濃度に薄めてことし夏ごろから海への放出を始める方針で、具体的な時期の検討に入っています。
 実施に向けて西村経済産業大臣は、放出に反対する漁業関係者との意見交換を続けていますが、30日は福島県を訪れて原発が立地する地域の相馬双葉漁協の幹部らと面会しました。
 この中で、漁協側からは「処理水を放出したあとは、子どもたちにとれた魚を食べさせないという声が出ている」とか、「放出には不安しかなく、漁業者の生活が守れるのか」といった懸念の声が相次いで出されました。
 これに対し西村大臣は「放出したあとも、国やIAEA=国際原子力機関がしっかりと分析して安全性を確保していく。廃炉が完了するまで不安が続くと思うので、対応を継続したい」などと述べ、福島第一原発の廃炉が完了するまで風評対策に取り組む考えを示しました。
 続いて西村大臣は、いわき市漁協を訪れて幹部らと面会しましたが、出席者からは処理水の放出への懸念に加え、中国が輸入規制を強化すれば、日本の水産業全体に影響が及ぶと指摘する声も出ていました。

 “科学的な安全 安心とは異なる 迅速に対応を”

 面会のあと、福島県の相馬双葉漁協の今野智光組合長は記者団に対して、「いつごろなら処理水を放出していいと言ってしまえば、放出に賛成する立場となってしまうので、われわれの口からは放出に理解を示すことはない」と述べました。
 そのうえで「放出が始まれば、われわれは廃炉まで問題を抱えることになる。科学的に安全は確認されているのかもしれないが、安心とは異なると思う。風評被害が大きくならないよう国は迅速に対応してほしい」と求めました。

 西村経産相「地元の漁業者の皆さんと信頼関係深めていきたい」

 西村経済産業大臣は漁業者との面会を終えたあと、福島県いわき市で記者団に対し「政府として風評対策に徹底して取り組み、福島で水揚げされた水産物をおいしく食べてもらうことが重要だ。今後も地元の漁業者の皆さんと意思疎通を密にして、信頼関係を深めていきたい」と述べました。
 その一方で、処理水を放出する具体的な時期については「安全性の確保や風評対策などを丁寧に説明し、政府として全体の状況を協議しながら判断していく」と述べるにとどめました。
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