[2023_07_22_02]政府 処理水めぐる中国側の動きに科学的根拠基づく対応要求へ (NHK2023年7月22日)
 
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政府 処理水めぐる中国側の動きに科学的根拠基づく対応要求へ

 福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出する計画をめぐり、日本からの水産物が中国の税関当局で留め置かれ輸出が滞っていることを受け、日本政府は中国側に懸念を伝えました。科学的根拠に基づいた対応をとるよう求めていく方針です。
 東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画をめぐり、中国政府は日本産食品の規制強化を示唆し、各地の税関当局で日本からの水産物が従来より長い間、検査のために留め置かれ、輸出が滞っています。
 松野官房長官は21日に「仮に全面的な放射線検査が導入されているとすれば、日本からの食品輸入の規制緩和・撤廃に向けた国際的な動きに逆行するものだ」と指摘しました。
 そして日本政府は、外交ルートを通じて中国側に懸念を示し、適切に処理するよう伝えたということです。
 政府は、日本産食品の安全性は科学的に証明されている上、処理水の放出計画もIAEA=国際原子力機関の報告書で国際的な安全基準に合致するとされているとして、中国側に科学的根拠に基づいた対応をとるよう求めていく方針です。
 また、中国側の動きに各国が惑わされないよう国際社会への情報発信も強めていくことにしています。

 日本の総領事 香港の行政長官に水産物の輸入禁止再考求める

 香港の食品衛生管理当局は今月12日、福島第一原発にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画をめぐり、実際に放出が行われた場合、福島や宮城など10の都県からの水産物の輸入を禁止すると発表しました。
 これについて香港にある日本総領事館の岡田健一総領事は、香港のトップ、李家超行政長官と21日に会談しました。
 香港の総領事館によりますと、この中で岡田総領事は、日本の10の都県からの水産物の輸入を禁止するとしていることについて、極めて遺憾であるとした上で考え直すよう強く申し入れました。
 一方、香港側の発表によりますと、李行政長官は「香港の食品安全と市民の健康を保障する措置を取らなければならない。事態の発展を注視し、日本側と意思疎通を保っていきたい」などと述べたということです。
 香港は、日本の農林水産物の主な輸出先となっていて、去年の輸出額は中国に次いで2番目に多い2086億円にのぼり、このうち水産物は755億円と3割余りを占めることから影響を懸念する声があがっています。
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