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その3 原子炉等規制法改訂について 9.長期施設管理計画での規制委の命令について 第9項では『原子力規制委員会は、第6項第1号の原子力規制委員会規則で定める基準の変更があった場合その他の場合において発電用原子炉施設の劣化を適確に管理するため改めて劣化評価を実施させる必要があると認めるとき、発電用原子炉施設の劣化を管理するために必要な措置が同項第2号に規定する基準に適合せず、若しくは適合しなくなるおそれがあると認めるとき、発電用原子炉施設が同項第3号の原子力規制委員会規則で定める基準に適合せず、若しくは適合しなくなるおそれがあると認めるとき、又は発電用原子炉設置者が前項の規定に違反していると認めるときは、発電用原子炉設置者に対し、劣化評価の実施、長期施設管理計画の変更その他発電用原子炉施設の劣化を管理するために必要な措置を命ずることができる。』との規定がある。 これは是正措置命令と呼ばれるものと考えられるが、具体的にどのような状況になった場合なのかは示されていない。 おそらくノウハウに関係して詳細を公開しない可能性が高いが、これもまた原発の安全管理上重要な項目であるから、明確にするべきである。 10.運転管理上の上限の設定について 運転期間規定を電事法に移したことで、炉規法では長期施設管理計画により30年までに、その後は10年ごとに管理計画を審査する。 この審査は、例えば運転期間が80年を超えるような期間でも運転できるとされた場合、30年と10年を6回繰り返すことになる。 また、再稼働をしていない原発については、現状では高経年化技術評価については、冷温停止維持のみの検査を行っているが、この法令改訂後も同様であるという。 再稼働をする際には新規制基準適合性審査を行う必要はあるが、それも現状のように40年までに受けなければならないわけではない。 例えば運転開始から60年を超えていても規制委が許可すれば再稼働は可能であり、その後、長期施設管理計画の審査が通れば80年以上も運転可能である。 運転していない限り、原子炉は老朽化しないし、周辺設備の多くも劣化しないという異常な前提がある。 今の原発の運転制限が撤廃されてしまうと何の歯止めもなくなってしまう。 11.老朽化が進んだ原発の安全性評価について 老朽原発の具体的問題点は個別に様々であるが、老朽化が進むと予期せぬところが破損し計画通りの稼働は困難である。 しかしそういう場合でも10年毎の検査で規定の審査を通れば運転が継続できてしまう。 今回の炉規法改訂では、高経年化技術評価が法令規制に格上げされたとして、規制庁は安全規制は強化されたと主張するが、何も変わっていない。 規制委は過酷事故発生について、どこで歯止めをかけることができると考えているのか、最後まで分からないままだった。 原発の安全規制は明確に後退し、規制は緩んだ。 原子炉圧力容器の照射脆化を検査する試験片も、既に使い切った原発が出現しているなど、60年以上動かす前提となる検査体制は確立していない。検査体制の内容を法律が国会を通ってから審議している有様だ。 こうしたことは一般に「結論先にありき」という。 60年超運転を容認し、原発の寿命であった40年規制をなくした結果、どんな老朽炉でも審査を通せば動かせる、何時審査を通しても、その時から始めて時計が動き出すので原発を止めていても廃炉になる心配はない。 このような安全規制の解除は事業者の利益のためであって、私たちにリスクを負わせるだけの暴挙である。 東電福島第一原発事故の教訓は巨大地震多発国の危険を実証したことだ。 このことを全く顧みない原子力政策は、原発が持つ極めて特殊な特徴を無視する。 国が進める原子力推進政策は何万年もかかる放射性物質の処理と環境破壊、事故のリスクをはじめ、電力の安定供給、エネルギー安全保障、経済性、健全なエネルギー産業の発展をも阻害する。 あらゆる面で無謀で、野蛮だ。直ちに、エネルギー政策の方向を変えるべきである。 ※小山:補足 6/17「山崎久隆ゼミ資料」の本文をそのままコピーしております。 |
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