[2023_07_05_03]IAEAの(「処理水」放出)「お墨付き」という報道はデマ IAEAは「お墨付き」などは与えておらず 拡大解釈や勝手な言いかえの側(報道)の責任が大きい 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕(たんぽぽ2023年7月5日)
 
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IAEAの(「処理水」放出)「お墨付き」という報道はデマ IAEAは「お墨付き」などは与えておらず 拡大解釈や勝手な言いかえの側(報道)の責任が大きい 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕

 
◎ 「処理水」と称すると汚染を隠す意図が感じられるから、「汚染水」と言うべきだという意見がある。しかし筆者は「処理水」でいいと思う。
 というのは昨今のマイナカード失態や不祥事の連続で政府自体が信用されていないから、政府が「処理水!処理水!」と言えば言うほど、国民の間では逆に社会心理として「汚染」「何か隠しているのではないか」という疑いが増幅されるからである。

◎ ところで各社報道では「IAEAのお墨付きを得た」という見出しが目立つが、それはデマに近い。
 ネットでは「認可された」「承認された」などという誤用さえみられる。
 一方で『日本経済新聞』(2023年7月5日)では報告書要旨を掲載し「この報告書はその方針を推奨するものでも支持するものでもないことを強調する」との記載を紹介している。

 これはIAEAの責任のがれであり「頼まれたからやりました」という傍観者的立場の表明ではあるが、いずれにしても「お墨付き」などは与えておらず拡大解釈や勝手な言いかえの側の責任が大きい。

◎ こうした拡大解釈や勝手な言いかえは原子力政策全般に共通している。
 原発自体の再稼働に関する新規制基準適合審査についてもしばしば「安全が確認された」「合格」と表現される。
 しかし規制委員会自体が「安全審査ではなく基準の適合性を審査したもの」「安全を保証したものではない」と明言しているにもかかわらず、いまだに拡大解釈や勝手な言いかえが横行している。
 これは意図的なデマといっても過言ではない。

※関係記事

 原発巡るIAEA報告書の要旨
 処理水放出後、客観的な調査を続ける
 放射線の影響、無視できる程度と結論

 この包括的な報告書は国際社会にとって処理水放出の科学的な根拠を明確にするもので、これまで提起されてきた安全性に関する技術的な疑問に対する答えになると信じている。
 包括的な評価に基づき、国際原子力機関(IAEA)は日本がとっている多核種除去設備(ALPS)処理水の放出に関するアプローチと活動が関連する国際的な安全基準に合致していると結論付けた。(中略)
 福島第一原子力発電所に保管されている処理水の放出は日本政府によ
る国家的な決定であり、この報告書はその方針を推奨するものでも支持
するものでもないことを強調する。(後略)
        (7月5日「日本経済新聞」朝刊5面より抜粋)
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