[2023_07_03_02]汚染水放出を自分の「功績」にする維新の国会議員 原子力学会…全体としての思想や方向性は極めて偏向している 「原子力学会誌」から−その(1) 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕(たんぽぽ2023年7月3日)
 
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汚染水放出を自分の「功績」にする維新の国会議員 原子力学会…全体としての思想や方向性は極めて偏向している 「原子力学会誌」から−その(1) 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕

 
◎ 維新の参議院議員の音喜多駿が汚染水放出について驚くべき発言をしている。
 音喜多議員は「原子力学会誌」2022年11月号の「巻頭言」に登場して「安全性の確保された「処理水」について、「汚染水」でないということを強く広報するよう政府に求め、同時に早期の海洋放出を求め続けました。先般、海洋放出が決定されたことの一助になったという自負があります」として汚染水放出を自分の「功績」に挙げている。

◎ 脱原発の運動では主に原子力事業者が批判の対象になるが、それと密接な協力関係にある学会はどうか。
 最近の大きな学会では、「学会誌」と「論文誌」を分けて、「学会誌」では総説、意見、トピックスなどを掲載し、「論文誌」では論文だけの掲載で別建てとしている。
 ほとんどの学会は基本的に誰でも入れるので、メディアの記者が情報収集のために入会しているケースもある。いわゆる御用記者や御用評論家はこうした情報をもとに学会・業界の動向を先取りして迎合した記事や論説を書くわけである。

◎ 日本原子力学会(以下「原子力学会」)も同様であり「原子力学会誌」(最近は「ATOMO(☆注)・アトモス」という愛称)には原子力学会・業界の方針あるいは「ホンネ」がしばしばあらわれる。
 学会というからには個々には「研究者」が集まった集団であるはずだが、全体としての思想や方向性には極めて偏向している。
 もし名前を伏せて「ネット右翼の書き込み」と言われたら区別がつかない。福島第一原発事故後から現在までの「原子力学会誌」の「巻頭言」を見てみよう。

◎ 事故から半年後の2011年10月には早くも「堂々と逆風に立ち向かい原子力の前進を!(宮崎啓次・大阪大学名誉教授)」という論説が掲載された。
 その後、音喜多駿のほか登場者を列挙すると、葛西敬之(JR東海会長)、櫻井よしこ(国家基本問題研究所長)、曾野綾子(作家)、西部邁(評論家)、池田信夫(アゴラ研究所所長)、三浦瑠璃(国際政治学者)といった具合である。櫻井よしこはこの間に2回登場している。(肩書は当時表記されたもの)

◎ 例に示した汚染水排出もそうであるが、原子力関係者ことに「専門家」を名乗る人々は、福島第一原発事故の前も後も、「市民は知識がないから感情論で原子力(あるいは放射線など)を過剰に怖がる。専門家は科学的に判断して安全を確認する」と主張してきた。
 しかし「専門家」こそ科学性も何もなく「原発反対に反対」というだけの条件反射的な主張に終始している。

◎ 前述の音喜多駿は過去に性的マイノリティに関する差別発言などのトラブルを起こしている。その他の論者も、差別、分断、外国との対立を煽る発言を繰り返すトラブルメーカーばかりだ。
 原子力学会はこの類の論者に頼らざるをえないのかもしれないが、学会がおよそ科学性とは縁遠い姿勢であることを示す証拠でもあるだろう。次回からいくつか具体例を取り上げて指摘したい。

(☆注):≪事故情報編集部≫より
    ☆には、実際には「シグマ」の記号が入ります。
    しかし、メールソフトより「機種依存文字」と指摘されます。
    (「機種依存文字」が1文字でもあると送信できません)
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