[2023_04_11_07]2023年3月の地震活動の評価(地震調査委員会2023年4月11日)
 
参照元
2023年3月の地震活動の評価

 令和5年4月11日
 地震調査研究推進本部
 地震調査委員会

2023年3月の地震活動の評価

1.主な地震活動

○ 目立った活動はなかった。

2.各領域別の地震活動

(1)北海道地方

○ 3月7日に釧路沖の深さ約 20km でマグニチュード(M)5.0 の地震が発生した。この地震の発震機構は北北西−南南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。

○ 3月 11 日に日高地方東部の深さ約 50km で M4.8 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

(2)東北地方

○ 3月 27 日に宮城県沖の深さ約 60km で M5.3 の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

○ 3月 28 日に青森県東方沖の深さ約 30km で M6.2 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

(3)関東・中部地方

○ 2018 年頃から地震回数が増加傾向にあった石川県能登地方の地殻内では、2020 年 12 月から地震活動が活発になっており、2021 年7月頃からさらに活発になっている。2023 年3月以降も、29 日に M4.1 の地震が発生するなど、一連の地震活動は、現在のところ減衰する傾向は見えず、依然として活発な状態が継続している。
 これまでの最大の地震は、2022 年6月 19 日に発生した M5.4 の地震である。この他、2021 年9月 16 日に M5.1 の地震、2022 年6月 20 日に M5.0 の地震が発生した。2020 年 12 月1日から 2023 年4月 10 日 08 時までに震度1以上を観測する地震が 306 回、このうち震度3以上を観測する地震が 45 回発生した。2023年3月1日から 2023 年4月 10 日 08 時までに震度1以上を観測する地震が 20回、このうち震度3以上を観測する地震が3回発生した。
 GNSS観測の結果によると、2020 年 12 月頃から、石川県珠洲(すず)市の珠洲観測点で南南東に累積で1cm を超える移動及び4cm 程度の隆起、能登町の能都(のと)観測点で南南西に累積で1cm を超える移動が見られるなど、地殻変動が観測されている。また、周辺のより多くのGNSS観測点におけるデータを加えると、2022 年6月 19 日の M5.4 の地震以降は、それ以前と比べて鈍化の傾向にあるが、地震活動が活発である北部では地殻変動が継続している。地殻変動域の変化、地震活動の浅部への移動、電気伝導度の分布などから、今回の活動には、流体の移動が関与している可能性がある。これまでの地震活動及び地殻変動の状況を踏まえると、一連の地震活動は当分続くと考えられるので強い揺れに注意が必要である。
(後略)

KEY_WORD:石川県珠洲市_震度6強_:NOTO_2023_: