[2023_04_28_02]関電元会長ら不起訴確定 検審別メンバー再審査で一転 報酬補てん(毎日新聞2023年4月28日)
 
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関電元会長ら不起訴確定 検審別メンバー再審査で一転 報酬補てん

 関西電力元役員による役員報酬の補てん(ほてん)問題を巡り、大阪第2検察審査会(検審)は28日、会社法の特別背任などの罪で「起訴相当」とされた森詳介元会長(82)ら旧経営陣3人について、一転して起訴に至らないとする再審査の議決を公表した。関電の歴代トップが法廷で刑事責任を問われないことが確定した。
 議決は3月30日付。他の2人は八木誠前会長(73)と岩根茂樹元社長(69)。
 検審は2022年7月の最初の議決で、@東日本大震災後の業績悪化に伴って減額した役員報酬について、退任後に「嘱託」などの報酬として計約2億6000万円を補てんしたとする特別背任A福井県高浜町の元助役(故人)から1億円超の金品を受け取った豊松秀己元副社長の追加納税分を肩代わりしたとする特別背任と業務上横領――の各容疑を審査員11人中8人以上が起訴すべきだと判断し、起訴相当としていた。
 審査員全員が入れ替わった再審査の議決は、嘱託業務について「実態がなかったとは言えない」とし、関電に財産上の損害もないため、@は成立しないと判断。Aも犯罪成立の立証は困難とし、最初の議決内容を覆した。関電に対し「真実を隠して説明責任を逃れようとする隠蔽(いんぺい)体質は許せない」と指摘したものの、森氏らの説明責任は旧経営陣らに起こされた民事裁判で明らかにされるべきで、刑事責任まで問うのは難しいと結論付けた。
 大阪地検特捜部は21年、市民団体に刑事告発された旧経営陣9人全員を不起訴にした。森氏ら3人を起訴相当とする最初の検審議決を受けた再捜査でも不起訴としたため、検審が再審査していた。審査員は定期的に交代するため、最初とは別のメンバーが担当した。
 一方、歴代幹部83人が元助役から計約3億7000万円相当の金品を受領した問題などが絡んだ容疑は既に不起訴が確定し、捜査は終結している。【古川幸奈】

 関電の役員報酬補てん問題

 関西電力の森詳介元会長ら元役員計18人に2016年7月以降、総額約2億6000万円が支払われた。関電は東日本大震災後の業績不振で電気料金の値上げと役員報酬の減額を決定。当時会長だった森氏が各役員を退任後に嘱託として任用し、減額分を補う仕組みを発案したとされる。社長だった八木誠前会長との協議を経て取締役会に諮らず運用を始めた。問題を調査した関電のコンプライアンス委員会は報告書で報酬補てんと認定し、「消費者や株主らへの虚偽説明に等しい」と批判した。
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