[2023_03_30_09]中部電力、カルテル処分不服で提訴へ 課徴金275億円(日経新聞2023年3月30日)
 
参照元
中部電力、カルテル処分不服で提訴へ 課徴金275億円

 中部電力は30日、企業向け電力販売でカルテルを結んだとして、公正取引委員会から約275億円の課徴金納付を命じられた問題を巡り、処分取り消しを求めて東京地裁に提訴すると発表した。水谷仁副社長は記者会見で「関西エリアで営業活動を制限したり、価格を維持したりといった行為自体がない。司法の公正な判断を求めたい」と話した。
 公取委は30日、中部電と販売子会社の中部電力ミライズ、中国電力、九州電力に対して、総額約1010億円の課徴金納付命令を出した。4社は2018年から、大規模工場向けの「特別高圧電力」や中小ビル・工場向けの「高圧電力」などの販売について、互いの営業エリアで顧客を奪い合わないよう関西電力と申し合わせていたという。
 中部電と中部電ミライズへの課徴金額は、それぞれ約201億8300万円、約73億7200万円。中部電が関西エリアで営業する際に、顧客からの見積もり依頼を断ったり、高い価格を提示して実質的に契約が成立しないようにしたりしたと認定した。実際に中部電は、関西エリアでの顧客獲得目標を大幅に引き下げていたという。
 公取委は22年12月、処分案を4社に通知。各社からの意見聴取を踏まえて、最終的な課徴金額を確定させた。関電は課徴金減免(リーニエンシー)制度に基づき違反を自主申告したため、処分を免れた。
 水谷副社長は、関西エリアでの営業を控えていたとの疑いについて「独自の販売戦略で営業活動してきた」と主張。カルテルがあったとされる18年11月から20年10月にかけて、大口の顧客数や契約電力が約3.2倍になっていると強調した。
 カルテルの合意を巡っては、林欣吾社長の関与も問われている。複数の関係者によると、林社長が販売部門トップを務めていた際に関電幹部と面会していた。公取委は当時のやりとりを記したメモなどをカルテルの証拠としている。水谷副社長は「当社の役員級が面談したことは事実だが、営業活動を制限するような合意はなかった」と反論した。
 中部電は23年3月期連結決算に、課徴金と同額の約275億円を特別損失として計上しており、最終損益は500億円の黒字(前期は430億円の赤字)の見通し。実際に課徴金を支払うことになれば、経営陣に対して株主代表訴訟が提起される可能性がある。中部電を巡っては、東邦ガスともカルテルを結んだ疑い
KEY_WORD:関電_中部電_九電_中国電_カルテル_処分_: