[2023_03_11_01]処理水 風評被害防止へ 水産庁、魚介検査を強化(東奥日報2023年3月11日)
 
[テキスト文]
 水産庁は東京電力福島第1原発の処理水放出を見据え、福島県沖などで取れた水産物の放射性物質調査を強化する。原発事故から12年となリ、近年は基準値を上回る例はまれだが、放出に伴う新たな風評被害を懸念する声は強い。科学的な安全性を確認し発信することで、水産物の需要や価格の落ち込みを防ぐ狙いだ。
 従来は水産物の放射性セシウムの濃度を検査してまたが、今年の春から夏ごろに放出が見込まれる処理水にはトリチウムが含まれている。トリチウムは国内外の原発で通常の運転に伴って排出されているが、福島の場合は事故に由来することから生態系への悪影響などを心配する見方があり、2022年度から汚染状況の調査を強めた。
 23年度は検体数の目標を前年度の200から380に倍増させ、監視を強化する。このうち半分ほどは検査期間を短縮し、素早く結果を公表することで、不安の解消につなげる。
 放射性セシウムの濃度は、時間の経過とともに減少している。原発事故直後の11年度は、海産物ではイカナゴやヒラメなど1189検体が現在の国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超え、全検体に占める割合は約16%にも上った。だが、15年度以降はほぼ0%で推移している。
 野村哲郎農相は「科学的な根拠で.『日本の海から取れた魚は大丈夫です』と発信したい」と述べ、風評被害解消に全力を挙げる考えだ。
KEY_WORD::汚染水_:FUKU1_:野村哲郎農相: