[2023_02_25_03]「福島県で漁業を続けたい」地元漁業者が西村経産相と意見交換 福島第一原発処理水の海洋放出めぐり平行線(東京新聞2023年2月25日)
 
参照元
「福島県で漁業を続けたい」地元漁業者が西村経産相と意見交換 福島第一原発処理水の海洋放出めぐり平行線

 東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水を浄化処理後に海洋放出する計画を巡り、福島県内の漁業関係者と西村康稔経済産業相の意見交換会が25日、いわき市であった。漁業者らは海洋放出への反対をあらためて強調し、議論は平行線のまま終わった。

 ◆反対明言にも西村氏「繰り返し丁寧に説明」

 福島県漁連の野崎哲会長や若手漁業者ら12人が参加。冒頭、野崎会長が「われわれは福島県で漁業を続けたい。県漁連としては(海洋放出に)反対という姿勢だ」と述べた。
 漁業者からは「私たちが海洋放出に対して理解を示していないのに、『春から夏ごろ』と開始時期を示したのはどういうことなのか」と憤りの声が上がり、西村氏は「関係者の理解なしにはいかなる処分(海洋放出)もしないという方針で臨んでいる」と釈明した。
 「『理解』は誰がどのように判断するのか」と、先行きを不安視する意見に対し、西村氏は「繰り返し丁寧に説明していくしかない」と回答を避けた。
 政府の情報発信や漁業者支援策が不十分との指摘も相次いだが、西村氏は「漁業者が誇りを持って事業を継続できるよう、情報発信や理解醸成に全力を尽くしていく」などと抽象的な説明に終始した。
 約30分間の意見交換後、西村氏は報道各社の取材に対し、関係者の理解を判断する手法について「一律の数値や指標で判断するものではない。説明を続ける」と述べるだけだった。(小野沢健太)

 福島第一原発の処理水 1〜3号機内の溶け落ちた核燃料(デブリ)の冷却作業に伴って発生する汚染水を「多核種除去設備(ALPS)」で浄化処理した水。放射性物質のトリチウムが除去できずに残っている。原子炉への冷却水がデブリに触れて汚染水が発生し、建屋に流入してくる地下水や雨水と混ざって増加。現在は1日約100トンが発生し、処理水の貯蔵量は16日時点で約132万トン。処理途上の水も含めると、タンク容量の96%が埋まっている。
 政府や東電の計画では、処理水に大量の海水を混ぜ、トリチウム濃度を国の排水基準の40分の1未満にした上で、沖合約1キロの海底から放出する。
KEY_WORD:汚染水_:FUKU1_: