[2023_02_14_03]「法案の締め切りがあるので仕方ない」と山中伸介委員長 原発60年超稼働の結論を急いだ原子力規制委(東京新聞2023年2月14日)
 
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「法案の締め切りがあるので仕方ない」と山中伸介委員長 原発60年超稼働の結論を急いだ原子力規制委

 議論は尽くされたのか。原発の60年超運転を容認する新たな規制制度を、原子力規制委員会が多数決で決定した。賛成した委員たちも少数の反対論を封じ込める性急な手続きが進められたことに懸念を示した。(小野沢健太、増井のぞみ)

 ◆反対貫いた石渡委員 最後は多数決で結論

 「この改変は科学的、技術的な新知見に基づくものではない。安全側への改変ではない。審査を厳格にすればするほど、より高経年化(老朽化)した原子炉が動く。私はこの案に反対します」
 臨時会の開始から約1時間20分が経過した13日午後7時50分ごろ、最終的な採決で賛否を問われた石渡明委員は、淡々とした表情であらためて「ノー」を突きつけた。傍聴席からは「原発やめて」などと怒声が飛び交う中での強行採決となった。
 石渡委員は、審査による停止期間を運転年数から除外する政府方針が、審査が長期化した原発の延命策につながることに対し「審査する側として耐えられない」と吐露。ほかの委員が規制案の妥当性を説明すると、時折、顔をしかめながら聞いていた。

 ◆賛成した委員も「じっくり議論するべきだった」

 賛成した委員からも疑問の声は上がった。杉山智之委員は「締め切りを守らなければいけないように、せかされて議論してきた。われわれは独立した機関であり、じっくり議論するべきだった」と指摘。伴信彦委員は、60年超の原発の審査について詳細が決まっていない段階での決定に対し「制度論ばかりが先行し、60年超をどう規制するのかが後回しになっていることに違和感がある」と懸念を示した。
 臨時会後の記者会見で、性急さを問われた山中伸介委員長は「法案のデッドライン(締め切り)があるので仕方ない」と釈明した。
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