[2023_01_16_01]東海再処理 機構試算 廃棄物整頓に361億円 雑然保管で余計な国費(東奥日報2023年1月16日)
 日本原子力研究開発機構東海再処理施設(茨城県、廃止措置中)で、過去に発生した放射性廃棄物入りの容器がプール内に無秩序な状態で保管され、状況改善に361億円かかると機構が試算したことが15日、分かった。遠隔操作で容器を取り出す装置や貯蔵施設の新設費用を算出した。
 機構は、取り出し方法次第で費用は抑えられるとしているが、国費から支出される。整然と保管していれば必要なかった作業に余分な費用がかかることになリ、ずさんな管理のつけが国民負担となる。
 この廃棄物は、原発の使用済み核燃料に使われた被覆管という金属の破片などで「TRU廃棄物」と呼ばれる。再処理の過程で廃棄物となった。こうした金属は放射線を出すようになっており、容器表面の線量は毎時数シーベルトと非常に高い。最終的に300メートルより深い地下に埋めて処分する。
 機構は1977〜91年、廃棄物を容器に入れ貯蔵庫のプールに落として入れた。容器は直径約80センチ、高さ約90センチ、重さ約1トン。計794個が横向きや反転した状態。容器に付いたワイヤがもつれたり、落下時の衝撃で変形したりしたものもある。容器の取り出しに必要な設備は貯蔵庫にない。
 こうした状態は、90年代に別の廃棄物容器に腐食が見つかった問題の総点検を通して表面化した。
 機構は「地震や津波に対する貯蔵庫の安全性については確認できているが、現状のまま不規則な状態で山積みになっているのは好ましくない」として改善を検討。新たな貯蔵施設の建設費を191億円、容器をつかむアーム型装置を備えプールを覆う取り出し建屋の建設費を170億円と試算した。
 水中作業ロボットと浮袋を組み合わせて容器を引き上げる方法が可能になれば、費用低減が見込めるという。機構は取り出し方法の検討を続けている。
 取り出しは当初計画より10年程度遅れ、2030年代中ごろの開始を目指している。

 東海再処理施投 原発の使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出す「再処理」用の国内初の施設。1977〜2007年に約1140トンの燃料を再処理した。14年に廃止が決まり、完了までに約70年、1兆円が必要とされる。再処理に伴って出た高レベル放射性廃液を大量に保管しているが、ガラスと混ぜて固化体(核のごみ)にする作業はトラブルで中断が相次いでいる。再処理で出る廃棄物には燃料の被覆管などの「TRU廃棄物」があり、放射性物質濃度が高いものは核のごみと同じように地下300メートルより深い場所に埋めて処分するが、場所はまだ決まっていない。
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