[2022_05_25_06]当社における品質不適切行為に関する原因究明及び再発防止等について(第 3 報)(三菱電機2022年5月25日)
 
参照元
当社における品質不適切行為に関する原因究明及び再発防止等について(第 3 報)

 04:00
2022年5月25日
各 位
会 社 名 三 菱 電 機 株 式 会 社
代 表 者 名 執 行 役 社 長 漆 間 啓
(コード番号 6503 東証プライム市場)
問 合 せ 先 広 報 部 長 山 崎 江 津 子
(TEL 03−3218−2111)

 当社における品質不適切行為に関する原因究明及び再発防止等について(第 3 報)

 三菱電機株式会社は、品質に関わる不適切事案の調査状況(調査委員会委員長:西村あさひ法律事務所 木目田 裕、2021 年 7 月 2 日公表)に関する調査報告書(第 3 報)を本日付で受領しましたので、2021 年 10 月 1 日に公表した当社の再発防止策を含む 3 つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)の進捗状況とあわせて、下記のとおりお知らせします。

 これまでに調査委員会は、同委員会に寄せられた品質に関わる問題の申告等を基に抽出した要調査事項 2,303 件のうち、約 8 割に当たる 1,933 件の調査を終了しました。今回の調査報告書(第3 報)では、新たに判明した品質不適切行為についても、第 1 報及び第 2 報で指摘した原因背景が等しく当てはまるとの見解が示されました。残る 14 製作所についても調査委員会による調査が継続しており、当社としても、品質不適切行為の全容解明に向け、引き続き調査活動に最大限の協力をしてまいります。

 昨年 10 月から当社が進めている再発防止策を含む 3 つの改革については、調査委員会のこれまでの提言等を踏まえたものであり、その方向性とこれまでの取り組みについて一定の評価を頂いております。一方で、再発防止策による現場への過重負担に対する配慮など、各施策の実効性をより高めていくための新たな提言も受けました。当社は今回の提言も踏まえ、3 つの改革を深化・発展させながら着実に変革に取り組んでまいります。

 なお、執行役・取締役の経営上の責任や内部統制システム・ガバナンス体制全般の検証・提言については、調査委員会の最終調査結果を踏まえて、ガバナンスレビュー委員会(委員長:山口利昭法律事務所 山口 利昭、2021 年 10 月 20 日公表)から報告される予定です。報告書を受領次第、速やかに公表いたします。

 調査完了時期の遅延も含め、お客様や関係者の皆様をはじめ、多くの皆様に多大なるご心配とご迷惑をお掛けしていることを、あらためて深くお詫び申し上げます。

                 記

 1.調査委員会の調査の状況

 昨年 7 月 2 日に社外弁護士を委員長として設置した調査委員会は、当社国内全従業員に対するアンケート調査等で得られた内容について客観的データ等の突合による整合性確認、当該拠点関係者や役員に対するフォレンジック調査及び関係者へのヒアリング調査を実施しております。
 本日受領した調査報告書(第 3 報)までに、調査委員会では合計 2,303 件の要調査事項を抽出し、そのうち 1,933 件について調査を終了しました。残件については引き続き、調査委員会にて調査を進めていきます。
 また、調査報告書(第 3 報)には昨年 12 月 23 日に受領・公表した調査報告書(第 2 報)以降に判明した案件等が記載されております。その概要は、表 1、表 2 に示すとおりです。なお、調査報告書(第 2 報)で報告された不適切事案についての現時点での対応状況は、表3 にまとめております。

(中略)

 2.総括

 今回の報告までに、当社全 22 製作所等のうち、8 製作所等に関しては調査委員会調査は終了しています。残る 14 製作所においても今回の報告にあるとおり調査は一定程度進んでおりますが、現時点で調査未了の案件について、引き続き調査委員会の調査に最大限協力してまいります。昨年 10 月 1 日、12 月 23 日の調査報告書とあわせた現時点での品質不適切案件数は下表のとおりです。

(中略)

 今回の調査においては、通信機製作所・静岡製作所・群馬製作所・京都製作所・産業メカトロニクス製作所・高周波光デバイス製作所では不適切行為と認められた案件はありません。ただし、これらの拠点においても業務品質に関わる事例が複数件指摘されていることを踏まえると、全社的に更なる品質レベル向上のための取り組みが必要と認識しており、以下の取り組みを着実に推進してまいります。

(中略)

 3.再発防止策を含む 3 つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)の進捗

 調査委員会からの再発防止策の提言を踏まえて策定した当社の 3 つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)の進捗は次のとおりです。

 (1)品質風土改革

 昨年 10 月 1 日付で設立した社長直轄の組織「品質改革推進本部」は、「本社主導の新たな品質保証機能の強化」、「事業本部横断の知見共有と機動的な支援」に向けて、表 5 に示す全社共通施策を実行中です。
 これまで、調査委員会の調査で判明した品質事案の多くは「試験の不備」、「試験結果が要求値を満足しないことによる問題」であり、製品の開発初期から生産準備完了までに解決すべき問題であることがわかりました。これは、お客様とのコミュニケーション含め、品質を上流(設計と生産技術)で作り込み、その状態を見える化するという、品質管理の実行に問題があると考えています。
 品質風土改革の方策である「指揮命令系統の製作所からの分離・独立」、「品質保証機能の強化」は、ものづくりのすべてのフェーズにおいて、正しく設計できているか、生産準備ができているかを、品質改革推進本部が生産システム本部や開発本部と連携して、確認と改善の PDCAを回すことであり、今回の品質事案に対して有効な方策であると考えています。
 一方、この PDCA を効率的に回すためには、「IT、デジタル化による品質強化」が不可欠であることもあらためて認識しました。多種多様な製品、お客様ごとに異なる要求仕様、各国法規要求に、一つ一つ丁寧に対応し、問題解決を加速するために、品質プロセスにおける DX を推進し、人的ミス撲滅、品質管理強化・効率化を進めていきます。

 あわせて、今回の重要品質問題の下に潜む課題(ヒヤリハット)についても見える化し、未然防止する取り組みも必要と考えています。その方策として、各製作所、製造ラインの健康状態を把握し、問題を早期に見つけ、全員で支援する活動を始めます。
 問題を見える化する「牽制」と、全員で解決していく「支援」の両輪で PDCA を回し、誠実な行動ができる会社を目指します。

 (2)組織風土改革

 社内公募で選ばれた有志メンバーからなる全社変革プロジェクト「チーム創生」は、新しい三菱電機グループの創生に向けた組織風土改革の指針として 2022 年 3 月に「骨太の方針」を策定しました。スローガンとして、“Changes for the Better start with ME”を設定し、これは「私(me)から変わる、そして、三菱電機グループ(Mitsubishi Electric)を変える。自分ができること、三菱電機グループができることをひとつずつやっていきしょう!」の意味を込めたものです。
 本年 4 月からは「骨太の方針」の実行フェーズに移行し、各事業本部等にも変革プロジェクトを設置し、全社 148 名体制で活動を進展・進化させております。4 月中旬から執行役や本部長と「チーム創生」のメンバーによる「骨太の方針」の従業員向け説明・意見交換会を順次開催し、これまでに計 59 回実施しました。今後、全拠点・部門で実施する予定です。
 また、人事制度等、全社施策として展開するものは、各担当部門にて施策・制度の構築・見直しに着手しています。2022 年度から変化に向けた第一歩を踏み出し、2025 年度を目安に、新しい文化が定着し、繋がりあい、自走する組織へと変革するまで活動を継続していきます。
 人事制度の刷新については、表 6 記載の「骨太の方針」の趣旨を十分に継承し、各種施策を着実に実行してまいります。具体的には、閉鎖的な組織風土の打破、オープンなコミュニケーションの実現に向け、経営陣自らの変革や多様性を推進します。また、自発的成長を促し部門を越えて協力しあう風土の実現に向けた人事育成ローテーションの推進をはじめ、ミドル・マネジメント層の業務環境改善を狙いとした管理スパンの適正化や権限分散の体制を構築し、経営による適切なサポートを実施するとともに、マネージャーの本質的役割の意識づけ、実践に向けた管理者教育の充実など、組織風土の改革と定着に資する取り組みを確実に実行してまいります。これらの施策の実施状況についてモニタリングを継続的に行い、実効性を追求・検証しながら、進めてまいります。

 (3)ガバナンス改革

 中長期的かつ持続的な企業価値向上のため、経営監督機能強化に向けた取締役会改革の取り組みを開始するとともに、弁護士等の外部専門家から構成する「ガバナンスレビュー委員会」を昨年 10 月 20 日に設置して、内部統制システム・ガバナンス体制の検証と課題抽出、及び改善策の検討を進めています。今後、ガバナンスレビュー委員会からの提言内容も踏まえ、当社の内部統制システム・ガバナンス体制の更なる改善を検討、実行する予定です。
 ガバナンス改革については、指名委員会等設置会社として、執行と監督の分離という基本的な建付けに立脚しつつも、法定三委員会を含め、取締役会として世の中のガバナンスの趨勢も見据えつつ、あるべき監督像の実現を目指します。
 指名委員会等設置会社としてのあるべき監督機能の実現に向けては、適切な監督機能の発揮に必要な環境整備・強化(取締役会機能と構成/社外取締役支援)とともに今後、ガバナンスレビュー委員会からの提言内容も踏まえた個別具体的な監督機能の強化策の実施を両輪として取り組んでまいります。
 また、リスクマネジメント体制の強化に向け、2022 年 1 月に、社長直轄の専門組織を設置するとともに、新たにリスクマネジメント担当執行役(CRO)を選任しています。本組織が社内におけるリスクマネジメントに関する活動を俯瞰し、当社において重層的に整備されている内部統制諸施策を点検し、実効性のある管理体制となっているか、手続きが形骸化していないか、アセスメントを行い、内部統制諸施策の棚卸・改善を行っていく予定です。

 (4)調査委員会の具体的提言と当社対応状況

 今回受領した調査報告書(第 3 報)で、新たに以下の7つの具体的提言を頂いております。当社は 3 つの改革の中で、これらの提言内容に対応する具体的な取り組みを、以下のとおり実施しております。

(中略)

 4.経営体制・経営方針

 調査委員会より直接原因の背景となる組織風土上の問題として指摘されている 3 項目(D拠点単位の内向きな組織風土、E独立性の高い事業本部制、F経営陣の本気度)については、経営体制改革や経営方針改定を通じても問題の解消を図ってまいります。

 (1)経営体制改革

 本年 4 月より、9 つの事業本部を「インフラ」「インダストリー・モビリティ」「ライフ」「ビジネスプラットフォーム」の 4 つのビジネスエリア(BA)に分類し、社会課題解決に向けて全社事業を俯瞰し、中長期視点で企業価値最大化に取り組む 4 人の BA オーナーを新たに配置しました。事業本部での個々の事業競争力を強めつつ、BA による横串機能の強化を通じて、拠点単位・事業本部単位で内向きと指摘されている組織風土の変革にも繋げていきます。あわせてコーポレート部門におけるチーフオフィサー制の拡充により、俯瞰的な視点で全社経営を牽引し、全社共通のケイパビリティ強化やインフラ整備、効果的なリスク管理や統制、柔軟な事業運営支援を図ってまいります。

 (2)経営方針改定

 本年 5 月より、「事業を通じた社会課題の解決」とサステナビリティの実現を経営の根幹に位置づけることを、経営方針の中に明記します。社内報や社長タウンミーティング等を通じ、本方針を確実に社内に浸透させ、役員・従業員一人一人が自分ごととして意識することにより、社会的責任意識や規範意識の醸成を図ってまいります。

 5.役員の経営上の責任及び処分

 当社は、2021 年 10 月 20 日「ガバナンスレビュー委員会の設置について」にて公表のとおり、当社の内部統制システム・ガバナンス体制全般の検証と、品質不適切行為に関する執行役・取締役の経営上の責任の明確化を目的に、当社と取引関係のない外部専門家から構成する「ガバナンスレビュー委員会」を設置し、調査・検証等を進めています。
 同委員会は、調査委員会による調査結果を踏まえた執行役・取締役の経営上の責任を検証する予定であり、2021 年 12 月 23 日受領・公表の調査報告書(第 2 報)以降に判明した品質不適切行為に関する役員の処分についても、同委員会の検証結果を踏まえ、検討してまいります。

 6.今後について

 今回までの報告では全 22 製作所等のうち調査未了が 14 製作所となっており、当社は引き続き、調査委員会の調査に全面的に協力し、品質不適切行為の全容解明に向けて総力を挙げて取り組んでまいります。
 また、これまでに指摘された品質不適切行為に関しては、当社としてもきめ細かい分析を実施し、個々の現場に即した再発防止策の深掘りを図ります。
 加えて新たな経営体制の下、調査委員会からの新たな具体的提言への対応を含めた、3 つの改革を着実に進めることにより、社会・顧客・取引先・従業員を含めたあらゆるステークホルダーからの信頼回復に努めてまいります。

以上
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