[2022_05_24_08]新地震想定 やっと前進 石川県 97年度以来の見直し決定(中日新聞2022年5月24日)
 
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新地震想定 やっと前進 石川県 97年度以来の見直し決定

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 能登群発、断層… 最新知見 反映目指す

 石川県防災会議が23日、金沢市内で開かれ、地震被害想定の見直しに着手することを決めた。被害想定は、死傷者や建物の被害をあらかじめ算出し、県民の生命財産を守るための地域防災計画の基本データ。県内では1997年度に現在のものが公表されて以来、そのままだった。専門家が再三、指摘していた問題がようやく一歩前進する。(西浦梓司)
 防災会議では専門家でつくる震災対策部会が、能登地方の群発地震を踏まえ「地震に全県で備えるために、速やかに被害想定の見直しに関する議論を進めることが必要」と提言し、了承された。被害想定のための調査時期や手法は今後、部会で詰めていく。
 防災会議会長の馳浩知事は終了後の取材に「文部科学省には調査をお願いしている。国が既に公表しているデータを見ながら同時並行で進めたい」と話した。
 現在の被害想定は1995年から三カ年かけた独自調査に基づいて算出され、97年度に公表された。仮定の断層を基に四つの地震を想定し、それぞれで予測される建物の倒壊や死者数などを算定している。だが、この約25年間で国が全国の主要な断層帯を調査し、公表してきたデータが反映されていない。県の調査と食い違う部分が目立ち、専門家が最新のデータを活用するよう求めていた。
 県は国が行う日本海中部海域の長期評価を待つという姿勢を堅持。見直しには消極的だった。
 金沢大の平松良浩教授(地震学)は「97年度に調査された断層は今の知見で見ると、おかしいと言わざるを得ない。石川県にとって喫緊の課題だ」と繰り返し、訴えてきた。
 被害想定の見直し着手が決まったことに、平松教授は「全部同時にやる必要はなく、できる部分からでいい。人の居住範囲など社会基盤が変わっているので、それらを反映することも重要だ」と話した。

【メモ】現在の被害想定の問題点=森本・富樫断層帯では、石川県は断層の長さを40キロ、想定マグニチュード(M)を7・0と仮定するが、国の長期評価では長さ26キロ、M7・2。想定震度の範囲に影響する断層の傾きも30〜50度異なる。七尾市からかほく市を走る邑知潟断層帯は、県の想定する断層と一致していない。「大聖寺の地震」と「能登半島北方沖の地震」でも想定Mや断層の位置、長さなどが国の新しいデータと違う。

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