[2022_12_27_06]審査、検査、未着手多く不確実/再処理工場(東奥日報2022年12月27日)
 
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審査、検査、未着手多く不確実/再処理工場

 異例の延期幅「未定」の公表から3カ月。日本原燃・六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)の新たな完工目標がようやく決まった。「2024年度上期のできるだけ早期」の完工を、確度の高い目標と強調する原燃だが、審査や検査は未着手のものが多く、実現にはなお不確定要素をはらむ。
 延期の主因は、安全対策工事などの詳細設計に当たる認可(設工認)審査だ。2分割したうち初回分は今月、申請から2年を経て認可にこぎ着けた。膨大な量の機器・設備が対象の最終回分は26日に申請。ただ、原燃の見込む「1年程度」で進展するか、現時点では見通せない。
 今月20日時点で原燃が示したのは一部の説明方針のみ。同じ種類の機器をグループにまとめ審査を効率化する「類型化」を含め、方向性については規制側から一定の理解を得たものの、細かい審議はこれからだ。原子力規制庁の担当者は「実際に申請書を見てみないと。安心したところまではきていない」と慎重だ。
 原子力規制委員会の山中伸介委員長も翌21日の会見で、最終回審査に対し「私自身、先は見えていない」と表現。全ては原燃の対応次第、とする。
 原燃が審査と並行して行う使用前検査は一部着手済みの一方、国の確認にかかる期間は確定できない。さらに、かつてトラブル解消と試験完了に数年を要したガラス固化工程の検査が不具合なくできるか、地元の懸念は根強い。
 9月の新工程未定の延期には、三村申吾知事や戸田衛村長から批判が噴出した。地元の信頼を損なうリスクを冒してまで3カ月の猶予を得た原燃にとって、年内の新工程提示と最終回の認可申請は死守すべき「防衛ライン」だった。「できるだけ早期」の表現を加えることには社内外で異論も出たが、増田尚宏社長は会見で「さらなる完工の前倒しを達成すべく、引き続き取り組みたい。工夫次第でまだ短くなると思っている」と強調した。
 再処理工場完成への圧力は高まりつつある。脱炭素社会を目指す政府はGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針で、完工目標実現を前提とした核燃料サイクルの推進を掲げる。原子力政策の行動指針案には、国による原燃の対応確認、指導を盛り込んだ。各電力会社からの支援も、これ以上ないほど原燃につぎ込まれている。
 自民党県連幹部は、これ以上の延期は県民の信頼を失うことに直結する−とし、原燃にくぎを刺した。「これで最後の延期に」
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