[2022_12_22_01]豪雪地帯の原発の危険性 実行性のない避難計画 大雪で原発事故が起きれば5キロ圏内絶望 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2022年12月22日) |
参照元
◎ 「大雪で原発から避難できるのか 柏崎刈羽近くの住民『実効性ある計画を』」 これは毎日新聞の記事だが、何時のものかというと「2021年1月30日」およそ2年前の記事である。 「今冬の記録的な大雪で、厳冬期に東京電力柏崎刈羽原発からの避難ができるのかという疑問が、原発近くの住民から出ている。 新潟県が2019年に策定した広域避難計画では、積雪による交通障害の影響は考慮しておらず、多数の住民を避難させられるかが改めて問われる事態になっている。」と警鐘を鳴らす。 ◎ それから約2年、今年も一昨日頃から降り続く大雪のため、約38時間にわたり柏崎市内で大規模な交通遮断が発生した。 しかも、国道8号線と国道17号線が南北で遮断され、事実上柏崎市は孤立状態になった。通行止めが原発からわずか2キロのところで起きていた。 ◎ これでは何があったとしても原発への救援さえ出来ない。 住民避難はもちろん不可能だ。誰1人脱出できないだろう。 除雪作業がすすみ、国道の開通を見たのは今日(12月21日)のことだ。 交通遮断と原発事故が同時に起きていたら、最も危険な初動の1日に避難不可能になっていた。 ◎ 上越タウンジャーナルの11月16日の記事では、「大雪時の退避に不安の声 原発「三つの検証」で説明会」と題して、上越市での県による説明会が紹介されていた。 ここでも大雪での避難の実効性に多くの不安の声が出されていることが報じられている。 ◎ それに対して県職員は、「多種多様な意見、提言、皆さんの声も参考にしていきたい。ストレートに答えられずに申し訳なかったが、なるべく皆さんと対話したい。一人一人の貴重な言葉を持ち帰って共有し、参考にしたい」というまとめの発言をしている。 つまり実効性のあるが計画はできていないことがつい先日も明確になっていた。 それが一月後に現実のものとなった。 福井県でも大雪遮断は発生 ◎ このところ、日本海沿岸部では、毎年のように短時間大雪の影響で交通遮断が起きている。 2018年2月6日から福井県嶺北地方は大雪に見舞われた。その影響で数日間にわたり1500台もの車両が動けなくなり、国道8号線を中心に交通遮断が発生している。 この時は主に苓北地方という、原発とは離れたところでの遮断だった。 しかし同じことは原発の周辺でも起きる。 実際に、敦賀市から滋賀県長浜市への国道8号線が遮断されたこともある。 ◎ そうした時に原発から大量の放射性物質拡散事故が起きれば、いかなる事態になるだろうか。 初期に放出される放射性物質の大部分は希ガスと呼ばれる気体状のものだが、ヨウ素も大量に含まれる。これらは降雪時には地表近くに滞留する。 また、セシウムなどは雪に取り込まれて降り注ぐことになるだろう。 その場合、拡散しなかった放射性物質はより原発に近い場所に堆積するから、その場所で高い被曝になる。 放出量が多ければ致死量に達することもあるだろう。 ◎ 原発から半径5キロ(PAZ圏内)は、冷却材の大量喪失による冷却不能の事態や全電源喪失の場合には自動的に避難が実施されることになっているが、今回のような豪雪時には不可能である。 こうしたことが、少なくても泊、東通、女川、柏崎刈羽、福井県全部、島根、玄海では起こり得るのである。 ※事故情報編集部より、この原稿は12月21日に届いたものです。 |
KEY_WORD:KASHIWA_: |