[2022_12_10_05]「拙速ではない」原発見直し論議で見せた推進派の本音(毎日新聞2022年12月10日)
 
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「拙速ではない」原発見直し論議で見せた推進派の本音

 「拙速な議論という話があったが、たいへん残念だ」。岸田文雄首相が原発の新増設や運転期間の延長など原子力政策の見直しを指示し、これを議論する経済産業省の審議会・原子力小委員会で、原発推進派の山口彰委員長(原子力安全研究協会理事)がこういらだちを見せる場面があった。経産省は12月8日、原発回帰の行動指針案をまとめたが、審議会では反対派から「見直し論議は拙速」との批判が相次いだ。
 原子力小委は経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」の下部組織で、岸田政権の原子力政策見直し論議の中心となっている。前回11月28日の会合で、経産省が「アクションプラン」と呼ぶ行動計画案を提示した。同案は原発の新増設・リプレース(建て替え)の推進と既存原発の運転延長を可能とする新ルールを盛り込んだ。
 今回、経産省は前回の会合で委員から出た意見を基に同案を部分修正し、行動指針案として再提出した。修正は字句の直しや内容の補強が中心で、原発推進に大きな変更はなかった。

 「市民社会も反対」

 これに対して、NPO法人・原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏は「なぜこれほど短期間の検討で決めなければならないのか。拙速な議論ではなく、慎重な検討が必要だ」と指摘。「これまで私は賛同できないと申し上げ、意見書も提出してきたが、ほとんど修正に反映されていない。異論があったことを付記してほしい」と述べた。
 消費者代表の村上千里・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会理事は「私だけでなく、多くの消費者団体も納得できていない。再考を求めたいが、このまま進めるのであれば、複数の委員から拙速との意見があったことや、市民社会からも多くの反対があったことを明記してほしい」と訴えた。
 これに対して、拓殖大学教授の佐藤丙午氏は「エネルギー政策は、まず最初に動くことが必要だ。その中で見直しを不断に行うべきだ」と主張。原子力利用の分野で働く女性の国際NGO・ウィン・ジャパン(WiN-Japan)理事の小林容子氏も「エネルギー政策は…(後略)
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