[2022_12_02_06]関電主導のカルテルなのに…電力各社、関電の「無罪放免」に怒り (読売新聞2022年12月2日)
 
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関電主導のカルテルなのに…電力各社、関電の「無罪放免」に怒り

 顧客獲得競争をやめるためのカルテルを結んだとして、西日本などにある大手電力各社が1日、計1000億円超の課徴金納付を求める処分案を通知された。カルテルの中心になったという関西電力(大阪市)は違反の自主申告により処分を免れる見通しで、各社からは不満が漏れるが、公正取引委員会の幹部は「電力自由化の理念をゆがめる行為をした各社は、いずれも悪質だ」と指摘する。
 電力の販売は長年、各地域の大手が独占していたが、2000年以降、段階的に自由化され、新規参入や他地域への販売ができるようになった。
 関係者によると、関電は17年以降、1件あたりの売り上げが大きい「特別高圧」や「高圧」の契約を取るため、中部電力(名古屋市)、中国電力(広島市)、九州電力(福岡市)の各エリアで営業を強化。顧客の獲得や価格面での競争が激化し、各社の収益も悪化したため、関電の役員らが各社の役員クラスの幹部らに、カルテルを持ちかける形で「手打ち」を行ったという。
 一方、公取委に最初にカルテルを申告したのも関電で、課徴金納付などの処分は免れるとみられる。
 中国電の関係者は「関電主導なのに、課徴金がないのは納得ができない」と話し、九電の関係者も「うちは関電から持ちかけられ、カルテルに応じた。関電がおとがめなしなのはおかしい」と怒りをあらわにした。
 ただ、公取委幹部は「国民生活に欠かせないインフラを担う電力各社が、自由化の流れに逆行するカルテルを結んでいた」と言及。さらに「コンプライアンスを重視すべき役員らが主導して行ったカルテルで、悪質だ」と指摘する。
 中国電は1日、公取委から処分案の通知を受けたことを公表し、「今後の対応は公取委から証拠などに関する説明を受けた上で、慎重に検討する」とコメント。中部電は「通知の内容を精査し、対応を慎重に検討する」、九電は「通知を厳粛に受け止め、今後の対応を検討する」などとした。
 関電は読売新聞の取材に「公取委の調査に全面的に協力している」とコメント。関電の関係者は「他地域で利益が出なければ撤退すれば良かった。手打ちにしてカルテルを結んだのはまずかった」と話した。公取委は昨年、関電と中部電、中国電、九電などに対し、独占禁止法違反容疑で立ち入り検査を実施していた。
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