[2022_11_28_10]上関原発 県が埋め立て工事の免許延長を許可(NHK2022年11月28日)
 
参照元
上関原発 県が埋め立て工事の免許延長を許可

 上関町で進められている原子力発電所の建設計画をめぐって、山口県は、中国電力が申請していた海の埋め立て工事に必要な免許の延長を認め、中国電力に許可書を交付しました。
 上関原発の建設計画をめぐって、中国電力は11年前の東日本大震災のあと、建設予定地の海の埋め立て工事を中断していますが、工事に必要な免許の期限が来年1月6日に迫っていることから、10月、期限を4年余り延長するよう山口県に申請していました。
 県は審査の結果、指定期間内に竣工できなかった合理的な理由があり、今後も埋め立てを続行する十分な理由があるとして、28日、平屋副知事が中国電力の芦谷茂副社長に延長を認める許可書を交付しました。
 一方で、原発本体の着工の見通しが立つまでは、埋め立て工事をしないよう求める要請書もあわせて手渡しました。
 建設計画をめぐっては、地元の同意が得られていないなどとして住民団体が反対していて、県に免許の延長を許可しないよう求めていました。
 また、政府はこれまで原発の新増設を「想定していない」としてきましたが、ことし8月、エネルギーの安定供給や脱炭素社会の実現のために原発を最大限活用する新たな方針を打ち出していて、年末までに示される国の原子力政策が上関原発の今後にも影響する可能性があります。
 県が中国電力に対し、海の埋め立て工事に必要な免許の延長許可を出したことについて村岡知事は「県としては、工事が進行できなかったことに合理的な理由があるかや土地需要があるかどうかを法律に基づいて審査して許可を出した」と話しました。
 また、上関原発の建設をめぐって反対の意見が出ていることについて、「中国電力が理解を得る活動や丁寧な対応を行うことが必要だと思う」と述べ、現段階では、原発建設のぜひをめぐって県として積極的に関与しない考えを示しました。
 中国電力の芦谷茂副社長は許可書を受け取ったあと記者からの取材に応じ、「上関原子力発電所は将来的な電力の安定供給や脱炭素を進める上で重要な電源で、建設工事が着実に進むよう取り組んでいきたい」と話しました。
 その上で、反対している住民団体を裁判で訴えたことについて、「我々としては丁寧に説明をさせて頂いたところだが、今後は法廷の場で我々の思いをしっかり主張していきたい」と述べました。
 県が海の埋め立て工事に必要な免許の延長許可を出したことについて、「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の清水敏保代表は「福島第一原発の事故を受けて原発の安全性に対して不信感を抱いている県民も多い中で、県が県民の気持ちを考えず計画を進めることにあきれている。引き続き原発計画の白紙撤回を求めていきたい」と話しています。

 【延長許可 審査のポイント】
 山口県によりますと、中国電力が申請していた海の埋め立て工事に必要な免許の延長を判断する上で、審査のポイントは2点あったということです。
 1点目は、期間内に工事が終わらなかったことに合理的な理由があるかどうかです。 埋め立て工事に先立って行われるボーリング調査をめぐって県は、調査地点の付近で住民側による複数の船舶を停止させる行為が繰り返され、中国電力が調査を終了できなかったとしています。
 その上で、中国電力が訴訟によって解決を図ると説明していることも踏まえ、県として合理的な理由があると判断したということです。
 2点目は、埋め立てを続行するのに十分な理由があるかです。
 上関原子力発電所は国が電力需給にとって重要だと推進する「重要電源開発地点」に指定されています。
 中国電力が国に問い合わせた結果、今後も事情の変化がない限り解除は考えていないとの回答が寄せられたことから、県は埋め立てを続行する十分な理由があると判断したとしています。
 これらの考え方について県が3人の顧問弁護士に確認したところ、全員が工事免許の延長を許可すべきという見解を示したということです。
KEY_WORD:上関原発計画_:FUKU1_:HIGASHINIHON_: