[2022_11_16_02]「時期尚早」「前のめりだ」 規制委 原発運転期間見直しで電力会社聴取を見送り (東京新聞2022年11月16日)
 
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「時期尚早」「前のめりだ」 規制委 原発運転期間見直しで電力会社聴取を見送り

 原子力規制委員会は16日の定例会合で、政府が検討する原発の運転期間の見直しを受けた新たな規制案について、電力会社から意見聴取するとの提案に対し、一部の委員が「時期尚早」などと反対し、了承を見送った。経済産業省の検討内容が具体化した段階で、あらためて意見聴取をするか議論する。(増井のぞみ)
 定例会で、規制委事務局が電力会社からの意見聴取を提案。しかし、地震津波の審査を担当する石渡明委員が「規制委が利用政策側(経産省)に先んじて(現行の)規定を変更することはないとの前提があり、これが大事」と指摘。その上で「まだ利用政策側の案が固まっていない段階で意見聴取するのは時期尚早。私は了承しない」と述べた。
 設備面の審査を担う杉山智之委員も「規制委がえらい前のめりだという印象を与えかねない」と懸念を示した。事務局の担当者は「利用政策側の検討が具体的に進んだ段階で話を聞く」と説明した。
 規制委の山中伸介委員長は9月末に就任後、最初の定例会で経産省から検討状況を聴取する意向を表明。経産省幹部から説明を受けた後、報道陣に「原則40年、最長60年」と規定された現行ルールが法令から削除されることを容認する考えを示した。その約1カ月後、経産省が見直し案を明らかにする前に、新たな規制案を公表した。
 この日の記者会見で、山中氏は検討の性急さを問われると、岸田文雄首相が年内に結論を出すよう指示したことを踏まえ「古い原子炉の規制を厳正に続ける必要があり、スケジュールに余裕がないと感じた。あえて誤解を恐れず検討を始めた」と説明。一方で「利用政策側の結論が出ないと、議論が先に進まない」と、ほかの委員からの意見に理解を示し、政府側の結論を待って新たな規制方針を最終決定する考えを述べた。
 新たな規制案では、規制委は現行ルールが見直された場合、運転開始から30年後を起点に、10年以内ごとに設備の劣化を審査し、運転延長を認可する制度を検討している。
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