[2022_11_02_01]原発、30年超運転で10年ごと認可 規制新案、60年超も可能に(毎日新聞2022年11月2日)
 
参照元
原発、30年超運転で10年ごと認可 規制新案、60年超も可能に

 政府が検討中の原発の運転期間延長を巡り、原子力規制委員会は2日、運転開始から30年を超える原発について、安全性を最大10年ごとに確認して、それ以降の運転を認可するかどうかを決める新制度案を定例会で公表した。現在の制度は運転期間が原則40年、最長60年の「40年ルール」だが、新制度になった場合、60年を超えても安全性が確認されれば運転が可能となる。
 新制度案は再度規制委で議論し、その後電力会社から意見聴取した後、年内にも規制委が所管する原子炉等規制法の改正案の骨子をまとめる見通し。
 現在の制度の根拠となる原子炉等規制法の関連条文は2本柱の構成。一つは「高経年化対策制度」で、運転30年超の原発について10年ごとに主にソフト面を審査する。もう一つが東京電力福島第1原発事故を受けて導入された「運転期間延長認可制度」(40年ルール)で、主にハード面を審査する。これに基づき、運転期間は原則40年の期間満了までに認可を受ければ1度だけ最大20年延長でき、最長60年となる仕組みだ。
 これに対して運転期間のさらなる延長を可能にするため、経済産業省は10月5日、利用政策を扱う法律で運転期間を定める方針を示した。規制委は運転期間については経産省の政策判断だとして関与せず、対応の検討を進めていた。現在の制度には60年超の運転を想定した規定がないため、2日の規制委の定例会で山中伸介委員長は「抜けが生じないよう、厳正な規制を維持するため制度設計する必要がある」と述べた。
 新制度案は、原子炉等規制法の2本柱を統合した形だ。運転30年超の原発には、最大10年ごとに劣化状況の確認や、その後の管理計画の提出を求めるなど、ハード・ソフト両面の審査をする。管理計画には劣化管理のために必要な対応を明記させて、認可後もその実施状況を規制委が検査する。また、高経年化が進むほど原発の設計が古くなることも課題のため、最新の知見を踏まえても必要な機能や性能を満たしているかどうか確認する必要があるとした。
 定例会後の記者会見で山中委員長は「今は40年で運転延長の認可制度の申請が1回なされ、そこで初めてさまざまな検査データを審査している。(新制度は)10年おきに認可するので、現行制度よりはるかに厳しい、高経年化した原子炉に対する規制だ」と述べた。【土谷純一】
KEY_WORD:原発_運転期間_延長_:FUKU1_: