[2022_10_08_03]住宅支援「継続すべきだ」 原発事故避難調査、国連報告者強調(福島民友2022年10月8日)
 
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住宅支援「継続すべきだ」 原発事故避難調査、国連報告者強調

 東京電力福島第1原発事故の避難者調査で来日している国連のセシリア・ヒメネスダマリー特別報告者(国内避難民の権利担当)は調査最終日の7日、東京都の日本記者クラブで記者会見し、暫定的な調査結果を報告した。原発事故による避難指示が出ていない地域から自主避難している住民らについて「特に脆弱(ぜいじゃく)な人々には住宅支援を継続すべきだ」との見解を示した。
 国連人権理事会に任命された人権や国際人権法の専門家による避難者の本格的な調査は初。ヒメネスダマリー氏は本県や東京、京都、広島を訪問、自主避難者や政府関係者、人権団体などへの聞き取りを行った。
 ヒメネスダマリー氏は調査報告書で、避難指示が出された地域と出ていない地域から避難した住民について「国際法では強制避難か自主避難かを問わず全員が国内避難民と定義されている。支援や援助を受ける上での区別は取り除くべき」と強調した。2017年に自主避難者に対する住宅の無償提供が終了した経緯などに「暮らしの見通しが立っていない貧困層や高齢者、障害者にとって大きな打撃となった」と指摘。「脆弱な立場にある避難民に対して移住先を問わず住宅支援施策を再開することが推奨される」と対応を促した。
 自主避難に伴い父親と母子などが離れて暮らす状況について経済的な負担が生じ、離婚率も高いとし「離散して避難している家族の脆弱性には特に注意を向けることが推奨される」と警鐘を鳴らした。
 ヒメネスダマリー氏は来年6月の国連人権理事会で、今回の調査に関する全体報告を行う予定。
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