[2022_10_05_01]原発運転期間、40年から延長可能に 規制委、大きな異論なく容認(毎日新聞2022年10月5日)
 
参照元
原発運転期間、40年から延長可能に 規制委、大きな異論なく容認

 政府が検討中の原発の運転期間延長を巡り、経済産業省は5日、現在は原則40年となっている運転期間の延長を可能にするため、経産省が所管する利用政策を扱う法律で定める方針を示した。原子力規制委員会の定例会で表明した。委員から大きな異論は無く、規制委は運転期間の上限の延長を事実上容認する形となった。
 原則40年、最長60年とした「40年ルール」は、東京電力福島第1原発事故を踏まえて民主党政権時に原子炉等規制法で定められ、規制委事務局を担う原子力規制庁の所管となった経緯がある。ルール改正の道筋が示されたことは、今後議論を呼びそうだ。
 定例会では、規制委の要請に応じ、原発を推進する立場の経産省の幹部が運転期間延長について検討状況などを説明した。経産省側は40年ルールについて、「安全対策工事をしっかりとする必要がある中で、審査が続いて長期間運転できない原発は多くある。期限があれば再稼働もままならないとの事業者(電力会社)の声がある」と説明。安全確保を大前提に「利用政策の観点から運転期間の法的整備を進めたい」との考えを示した。具体的な延長期間は明言しなかった。
 一方規制委側からは「運転期間を延ばせば、安全の立証は難しくなる。データの蓄積が必要だ」「規制委の安全確認が、60年を超える運転のお墨付きを与えるものであってはならない」などの意見が出た。ただ、40年ルールについては「意見を申し上げる立場に無い」との考えが示され、経産省の方針を事実上認めた。経産省幹部は「電気事業法の改正などが想定される」としている。
 規制委の山中伸介委員長は、運転期間の法体系を移行した場合の安全確認のあり方などについて対応を検討するよう事務局の規制庁へ指示した。山中委員長は定例会後の記者会見で、40年ルールを定めた原子炉等規制法の条文については「抜け落ちることになる」との考えを示した上で、「運転期間がどうなろうとも、厳正な規制ができる仕組みにしたい」と述べた。
 規制委は2020年7月に示した見解の中で、40年ルールについて「原子力のあり方に関する政策判断にほかならず、意見を述べるべき事柄でない」との考えを示しており、この日の議論もこの見解を前提に進められた。【吉田卓矢、浅川大樹】
KEY_WORD:原発_運転期間_延長_:FUKU1_: