[2022_09_07_12]再処理工場 完成時期延期 日本原燃 県へ報告(NHK2022年9月7日)
 
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再処理工場 完成時期延期 日本原燃 県へ報告

 青森県六ヶ所村で建設が進められている使用済み核燃料の再処理工場について、事業者の日本原燃は、当初、今月末までとしていた完成時期を延期することを決定し7日、県へ報告しました。延期は今回で26回目で、新たな完成時期は示していません。
 六ヶ所村にある再処理工場は、原子力発電所から出る使用済み核燃料から再利用できるプルトニウムを取り出す施設で、国が進める核燃料サイクル政策の中核を担っています。
 事業者の日本原燃はこれまで工場の完成時期を今月末までの今年度上期としていましたが、7日延期を決定し青森県の三村知事に報告しました。
 ただ、新たな完成時期は示さず、年内に改めて公表するとしています。
 延期の理由について、日本原燃の増田尚宏社長は、完成の前提となる、安全対策工事などの原子力規制委員会の審査が続いているためと説明し、「計画通り進めることができず、度重なる工程変更を行いみなさまにご不安、ご心配をおかけしていることを改めてお詫び申し上げます」と謝罪しました。
 これに対し、三村知事は「新たな完成時期が示されないことは誠に遺憾で、驚がくしています」と不信感を示したうえで、完成時期を示す際にはこれまでの遅れの原因を分析するよう強く求めました。
 再処理工場は当初、25年前の平成9年に完成する計画でしたが、たび重なるトラブルなどの影響でこれまでに25回延期されていて、今回で26回目にのぼります。
 また、完成時期を示さないのは平成25年の延期以来2度目です。
 事業者の日本原燃は、7日夕方、記者会見を開き、増田尚宏社長は、「年末まで完成時期の公表を待っていただくことになり、皆さんに不安を与え、大変申し訳なく思っている」と改めて陳謝しました。
 完成時期の延期の理由としてあげた、原子力規制委員会の審査の遅れについて、増田社長は、「再処理施設の工事の計画にあたって、原子力発電所のイメージを持ちすぎていたことを反省している。私のマネージメントの悪さが原因だ」と述べました。
 その上で、3回に分けて規制委員会に申請することにしていた安全対策工事の計画などについて残る2回分を1回にまとめてことし11月に出し、審査の効率化につなげる意向を示しました。
 完成時期の延期が決まった再処理工場は、原子力発電所で使い終わった核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する、国の核燃料サイクル政策の中核の施設です。
 30年ほど前の平成5年に建設が始まり、電力会社などの出資で作る事業者の日本原燃は、当初、完成する時期を着工から4年後の平成9年としていました。
 しかし、たび重なるトラブルの影響や、平成23年の東日本大震災と福島第一原発の事故の影響で国の規制が強化されたことなどから、完成時期はこれまでに25回延期され、日本原燃は、おととし8月に、完成目標時期をことし9月までの今年度上期としていました。
 日本原燃は、安全対策工事の計画などを3回に分けて原子力規制委員会に申請することにしていますが、初回の審査を終えるために必要な「補正書」と呼ばれる書類の提出が繰り返し遅れていてようやく、完成目標時期の2か月ほど前のことし7月に、およそ3000ページにも及ぶ「補正書」を原子力規制委員会に提出していました。
 こうした状況のなか、補正書の提出の翌日に開かれた日本原燃の定例会見で、増田尚宏社長は、工場の完成目標時期について、「延期も視野に考えないといけない時期に来た」と述べ、延期を検討する考えを示しました。
 その理由について増田社長は、完成の前提となる安全対策工事などをめぐる原子力規制委員会の審査が続いていることや、当初の計画よりも工事の量が増え、安全に進めるためにも計画を精査する必要があることなどをあげていました。
 また、延期した場合の期間については、「2年も3年もかかるものにはならないとは思う」と述べた一方で、数ヶ月程度にはとどまらないという見通しも示していました。
 再処理工場をめぐっては、原子力規制委員会の審査が終わった後でなければ行えない工事もあり、原燃が行う使用前の検査の実施など、数多くの課題が残されていて、着工から30年近くたってもいつ完成するのか、めどが立たない状況となっています。
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